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地域の味を観光資源に 「ラーメンの聖地、山形市」を創る協議会・阿部勝重発起人代表<Eパーソン>

 総務省が公表した2022年の家計調査で、山形市の外食でのラーメンの年間支出額が2年ぶりに全国1位となった。昨年は新潟市に抜かれて日本一がV8でストップし、山形市内の店主らが奪回へ一丸となった。昨年9月に結成された連携組織「『ラーメンの聖地、山形市』を創る協議会」の発起人代表、阿部勝重さんは「ラーメンを山形の観光振興のツールに育てたい」と盛り上がりに期待する。(聞き手は山形総局・原口靖志)

厨房に立つ阿部さん=ケンチャンラーメン山形

[あべ・かつしげ]山形市の広告代理店に13年間勤務後に脱サラ。ケンちゃんラーメン本店(酒田市)で1年間修業し、05年に山形市西田に「ケンチャンラーメン山形」を開業。55歳。山形市出身。

食文化として広く発信

 -赤地に白い文字で「山ラー」。インパクト強めのポスターだ。

 「山形ラーメンを広くPRする顔のような存在として考案した。同様のデザインののぼりと共に、20日から協議会に加盟する市内の134店(9日現在)の店頭で一斉に掲示する。デザインをあしらったグッズなどを開発し、販売収益を災害時の炊き出しなど地域貢献にも生かしたい」

 -日本一奪回は多くのニュースに取り上げられた。

 「各店とも県外ナンバーの車で訪れる客が増えるなど、早速、効果が出ている。市内全体が『ラーメンのまち』として盛り上がる姿を発信し誘客を広げたい。今後も新潟市や3位に入った仙台市などと『楽しい争い』で互いに末永く盛り上がっていければいい」

 -協議会の発起人4人は、いずれも行列ができる屈指の人気店の店主。初めて手を組んだ理由は。

 「喜多方ラーメンの喜多方市やギョーザの宇都宮市のように地域の味を観光資源として生かしたい思いは前から持っていたが、これまでは店主同士の横のつながりが薄かった。昨年、新潟市に抜かれたことで、一丸となって盛り上がろうという機運が高まった」

 -観光資源としての山形ラーメンの強みは。

 「博多の豚骨、札幌のみそのような固定した系統がなく、地域や店によって多種多様な味が楽しめる。そば店で提供するラーメンも根強い人気がある。注目されたのを機に山形ならではの食文化として広く発信していきたい」

 -意欲的な活動の原動力は何か。

 「まちににぎわいを取り戻したいとの思いがある。2020年に百貨店『大沼』が閉店するなど、中心市街地は閑散としている。手頃な値段で味わえるラーメンを生産量日本一のサクランボと並ぶ観光資源と捉え、来県して名物のそば、温泉などを楽しんでもらえる入り口になってほしい」

 「山形ラーメンのファンをさらに増やすため、店同士が味とおもてなしで切磋琢磨(せっさたくま)する意識を高めたい。首都圏などでの市の観光キャラバンで試食を振る舞っても面白い。隣接して交流が盛んな仙台圏からも気軽に訪れて味わえることを広く周知していきたい」

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