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仙台大観音「化粧直し」 白衣の美、初の修復<アングル宮城>

建立以来初めての修復作業
<挑戦>高さ100メートルの頭頂部からロープを伝い作業が進められる。塗装をはがして傷を補修。高圧洗浄の後、全身を塗装―。いくつもの工程をこなし白衣観音は元の姿を取り戻す=仙台市泉区実沢

 仙台市郊外の丘から慈悲に満ちたまなざしを注ぐ仙台大観音(泉区実沢)。1991年の建立以来、初めてとなる本格的な修復作業が専門業者の手によって進められている。

 「化粧直し」は工期短縮と費用削減のため、ロープで宙づりになって作業する特殊な工法を採用。工事を請け負う「クライミング・ワークス」(神奈川県大磯町)の作業員が地上100メートルの頭頂部から垂らしたロープを頼りに、表面のひびの補修など下地処理に当たる。

 「恐怖心よりやりがいや使命感が強い」と話す同社の水野淳一社長(53)。長男皓貴さん(24)と息の合ったペアで作業に励む。

 所有する大観密寺住職代理の鈴木相興さん(75)は「痛んだ姿がきれいになるのが楽しみ」と目を細める。雪が舞う頃、白衣をまとった像は元の装いを取り戻す。
(写真映像部・庄子徳通)

<難所>宝珠を持った右手。通常は降下しながら作業をするが、中には登らないとたどり着けない場所もある
<呼吸>安全確保のため、作業は必ず2人1組で行う。淳一さん(上)と皓貴さんの親子は息もぴったり
<着々>住宅地にそびえ立つ観音像。目を凝らすと左胸の辺りに作業員の姿が見える

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