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鳴子のこけし、パリへ 宮城・大崎の職人と仏芸術家がコラボ、年末にも商品化

フランス向け鳴子こけしの木地挽きをする桜井さん
桜井さんの工房を訪れパリ進出を見据えたこけしのデザインを描くミレさん=7月26日

 大崎市鳴子地区のこけし職人とフランス人芸術家が共同で、パリ進出を見据えたこけしの創作を始めた。芸術家が鳴子を訪れて感じたひらめきやアイデアと、鳴子こけしの伝統を融合させ、独創的な作品を生み出そうとしている。

 2人はこけし職人の桜井尚道さん(35)とパリ在住で陶器やセラミックを素材にオブジェを制作するセヴェラン・ミレさん(45)。

 ミレさんは7月24~27日、鳴子を初めて訪問。桜井さんの工房をはじめとするこけし作りの現場を見学したほか、こけしの歴史を学び、温泉街を巡った。

 「鳴子こけしや町の雰囲気、人々の温かさから感じるものがあった」とミレさん。こけしに描かれる菊をモチーフにしたり、胴体にも顔を描いたり個性的なデザインを次々と考案した。

 桜井さんは「自分からは出てこない斬新なアイデア。作っていて面白い」と刺激を受けた。

 桜井さんは元々、鳴子こけしの海外進出を視野にパリの見本市に出品していた。新型コロナ禍が落ち着き、再進出を考えていた頃、日本の工芸品をパリで販売するフランス人業者から、コラボを提案された。

 ミレさんの作品には、こけしに似た形やこけしの顔のような絵付けを施したものもあった。桜井さんは親和性を感じ、共同制作を快諾。鳴子を実際に訪れることを唯一の条件とした。「鳴子に来て、鳴子を感じ、鳴子の地で生み出してほしい」との思いからだ。

 今後は商品として量産できるかどうかや価格帯などを検討し、十数種類のデザインを決める。2人はオンラインで打ち合わせを続けていて、クリスマス商戦に合わせ、12月上旬にパリで売り出したいという。

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