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復興の願い、ペダルに託す 1300人が三陸沿岸を疾走

観客に手を振り笑顔でスタートを切る佐藤さん=石巻市の石巻専修大

 東日本大震災で深刻な被害を受けた石巻市と宮城県女川町、南三陸町を自転車で巡る「ツール・ド・東北2013in宮城・三陸」(河北新報社、ヤフー主催、宮城県など共催、TBSテレビ特別協力)が3日開催された。被災地支援を目的とした初のイベントで、全国から集まった参加者が一日も早い復興を願い、震災の爪痕が残る三陸沿岸のコースを疾走した。

佐藤真海さん 故郷を駆ける

 ツール・ド・東北で、沿道からひときわ大きな歓声を浴びたのが、パラリンピック陸上選手の佐藤真海さん(31)=気仙沼市出身=。生まれ育った大好きな三陸の復興を願い、約1300人の一般参加者と海沿いのコースを駆け抜けた。

 義足の陸上選手として活躍する佐藤さんは、アンバサダー47人の一員としてショートコース(60キロ)に参加。「まみちゃん頑張って」との声援を励みに完走した。

 一緒に走ったスポーツジャーナリスト中西哲生さんによると、ペダルをこぎながら涙ぐむ場面もあったという。「悲しさが込み上げた。被災地の現状はひとことで言い表すことができない」とゴール後、佐藤さんは振り返った。

 女川町のエイドステーション(休憩地点)では、サンマのつみれ汁を振る舞う町商工会女性部の主婦らと交流を楽しんだ。佐藤さんが「震災を乗り越えるため、一緒に頑張りましょう」と声を掛けると、主婦らも笑顔で応じた。

 佐藤さんは「被災地でたくさんの笑顔と元気をもらった。出会った人や見た景色は心の中に深く刻まれた。地域ごとに異なる復旧の進み具合を知る機会にもなった」と参加の意義をかみしめた。

 佐藤さんに声援を送った女川町の家電販売店経営木村好子さん(72)は「自宅が津波に流され、途方に暮れた時期もあった。障害を乗り越えて頑張る佐藤さんの姿に励まされた」と話した。

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