(686)重陽の夕焼に逢ふ幾たりか/阿部みどり女(1886~1980年)
重陽は五節句の一つ。菊花節とも。本来は旧暦9月9日だが、みどり女の日記によると掲句は新暦9月9日に詠まれたようだ。目の前の見事な夕焼け。ああ、この素晴らしい夕焼けに出会ったのは幾人だろうか。自分と同じように夕焼けに染まっている人々にも思いを馳(は)せている。あの人、この人、亡くなったあの人にも、こ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。