(682)鬼灯(ほおずき)の鳴る子鳴らぬ子鳴らさぬ子/塚本万亀子(1939年~)
昔の子供たちは、鬼灯を笛にして遊んだ。皮を剥(む)き、実を指で揉(も)み中身を取り出す。空洞になった皮を口に含み、唇と舌を器用に使って吹くと、ブーブーというような音が鳴る。難しいので音が鳴らない子もいる。だが作者の優しいまなざしは、もうひとりの「鳴らさぬ子」にも向けられる。あとがきによると、作者は…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。