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障害者がサービス、東北初のGS 山形・南陽にオープン 就労経験積み自立支援

開所したGSで来店客の車の窓ふきに従事する利用者たち

 障害者が接客や洗車などのサービスを担当する東北初のガソリンスタンド(GS)が山形県南陽市にオープンした。自立に向けた就労経験を積む場として、障害のある男性が経営に乗り出した。障害を乗り越えて共に支え合い、地域に貢献するGSを目指す。(山形総局・原口靖志)

障害者の就労経験を積む場として国道399号沿いに開所したGS「ムゲン・ガスステーション」

廃業した店舗を引き継ぐ

 GS「ムゲン・ガスステーション」は、市役所近くの国道399号沿いで営業を始めた。障害者の就労支援事業などに携わる同市の企業「夢源(むげん)」が、昨年廃業したGS店舗を引き継いだ。給油スタンド3基と灯油スタンド1基がある。

 夢源が運営する自動車整備の就労継続支援B型事業所「ルーナ」を利用する身体・知的障害者らが毎日3人ほど勤務し、健常者のスタッフに交じって車の窓拭きや洗車、タイヤ交換などに当たる。勤務により、現状で月2万円ほどの工賃の上乗せを図る。

 初日の7日はルーナの利用者8人が出勤した。来店客に「いらっしゃいませ」と元気よく応対し、タオルで丁寧に窓を拭いて回ったり、ドライバーにオープンの記念品を配ったりした。

 てんかんの症状がある川井智史さん(37)は「人と話すのは得意でなく緊張したが、実際の店舗で訓練できるのはありがたい。接客の腕を磨き、GSへの就労につなげたい」と意欲を見せた。

開所したGSの店先でのぼりを振ってドライバーに来店を呼び掛ける利用者
開所したGSで電動車いすを動かしながら来店客に応対する加藤代表(左)

42歳代表は車いすで奮闘

 夢源の加藤健一代表(42)は元整備士で、病気のため電動車いすユーザーとなった。経験を生かして5年前にルーナを開所し、利用者に車の軽整備や洗車などの技術を指導。自立への新たなステップとしてGSの開設に踏み切った。

 「障害者が就労に一番近い形で研修を受けられる。接客などを通じ地域住民に貢献する達成感を得るとともに、ドライバーらにも障害者の就労への理解を広げたい」と加藤代表。人手不足が課題のGSや自動車整備業への人材供給にも貢献したいという。

 GSの所在地は南陽市蒲生田1845。営業時間は午前8時~午後7時で元日を除き無休。バリアフリー対応など店舗の改修費用を募るクラウドファンディングを専用サイト「レディーフォー」で9月末まで実施する。

開所したGSに出勤した利用者に声を掛ける加藤代表(右端)

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