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<記憶の素描(24)芥川賞作家・石沢麻衣>角パンたちの秋

 浅い眠りの中、突然奇妙な木琴の旋律が降り注いできた。誰かが面白がって、木の鍵盤にマレットを滑らせているような音。朝もまだ灰色に寝ぼけているのに、音楽性のない木琴の音は執拗(しつよう)に夢をたたいてくる。

 泊まり客用の部屋から眠気を引きずりつつ出ると、友人のKが朝食用のミルク角パンを籠に並べていると…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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