閉じる

<大観音の傾き(14)想像することしかできない 山野辺太郎>

 出張所で修司は机に向かっていた。会議室から戻ってきた内藤が、かたわらを通り過ぎてゆく。あとに続いて歩いてきたのが、沢井だった。本庁からやってきて、内藤と何か打ち合わせをしていたようだ。修司はちらりと沢井に目を向け、軽く会釈した。
「高村君」と沢井が声をかけてきた。「お昼、お弁当持ってきてるの?」
「い…

関連リンク