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響け、自由!開け、せんくら!【特集】第18回 仙台クラシックフェスティバル2024

 杜の都が音楽で彩られる「仙台クラシックフェスティバル2024」(せんくら)が10月4日㈮から3日間、全80ステージ行われる。18回目を迎える今年のテーマは「響け、自由! 開け、せんくら!」。さまざまな公演を聴いて、素敵なメロディーと出合おう。

《多彩で愛される 無二の音楽祭》 >> 仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者 太田弦さん

ステージで指揮する太田さん

 2023年に仙台フィルハーモニー管弦楽団の指揮者に就任した太田弦さん。現在、太田さんは30歳。これまでに読売日本交響楽団や大阪交響楽団などで指揮してきた若きマエストロに、「せんくら」への思いを聞いた。

 太田さんは22年の「せんくら」で次期仙台フィル指揮者として3ステージに出演。その時の印象を「満席のステージが多いことに驚きました。国内にはさまざまな音楽祭がありますが、これほど多彩なジャンルがそろい、何より市民に愛されている催しは他にないのでは」と話す。

 子どもと一緒に楽しめる演目が多いのも「せんくら」の特徴。太田さんも「3歳以上入場可」のステージ(公演番号52)で指揮する。楽器紹介や指揮体験の時間もある、体験型のプログラムだ。

 「私の見てきた限り、せんくらは子ども向けの演目が最も充実した音楽祭」と絶賛。自らも3歳になる男の子のお父さんという太田さん。「先日、息子を仙台フィルの子ども向けコンサートに連れて行きました。その時、妻が『自分もとても楽しめた』と言ってくれたんです。子どもたちに音楽を届けるには、一緒に来場されるご家族にも良い時間を過ごしてもらうのが大切だと思っています」と力を込める。

 太田さんは3日間を締めくくるファイナル・コンサートでも指揮を担当する。コロナ禍で中断していた「第九」合唱が復活することもあり、「たいへんな名誉」と喜ぶ。最後に「仙台フィルは観客に楽しんでもらおうという気持ちがとても強いオーケストラ。ゲストのソリストも実力者ぞろいなので期待してほしい」と自信をみせた。

公演番号 23
10月4日(金)19:00~20:00
サントリーコンサート
仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

公演番号 52
10月5日(土)11:00~11:45
仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

公演番号 54
10月5日(土)18:30~19:30
丸木医科器械コンサート
仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

公演番号 79
10月6日(日)17:15~18:15
鹿島エキサイティングライブ!
仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

公演番号 80
10月6日(日)19:45~20:45
泉パークタウンまちびらき50周年記念コンサート
仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

《若手や東北勢集結 注目のステージ》

豪華なハーモニー届ける >>東北ゆかりの木管アンサンブル2024 こんなにいたのか! 東北ゆかりの名演奏家

 仙台フィルメンバーや宮城県出身の奏者13名で構成される「東北ゆかりの木管アンサンブル2024」のステージ。リヒャルト・シュトラウス「セレナード」とグノーの「小交響曲」を豪華なハーモニーで届ける。オーケストラ愛好者もブラスファンも納得のプログラム。

公演番号 48
10月5日(土)12:30~13:15
仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール

歌と絵画でたどる名作 >> せんくら・うた劇場 宮沢賢治「雪渡り」

 東北ゆかりの歌手と演奏家が、宮沢賢治の名作「雪渡り」(吉川和夫作曲)を歌い上げる。出演は佐藤瑛利子さん(ソプラノ)、武田直之さん(バリトン)、原田博之さん(バリトン、合唱指導)、NHK仙台少年少女合唱隊ほか。美術教育研究所アトリエ・コパン(石巻市)の制作による絵画が使われるステージアートにも注目を。

公演番号 65
10月6日(日)12:15~13:00
日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)交流ホール

フレッシュな才能に触れて >> 仙台フィル若手メンバー大集合!Ⅲ 「今後、よろしくお願いします!」

 仙台フィルに2022年以降入団した髙橋彗希(しょうき)さん(コントラバス)、高橋鐘汰さん(オーボエ)、金子遥亮さん(チェロ)が、ピアニストの加藤直子さんと共演し、それぞれの演奏を披露する。オーケストラの今後を担うフレッシュな才能と個性豊かなメロディーに触れるまたとない機会だ。

公演番号 66
10月6日(日)14:45~15:30
日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)交流ホール

《アレンジ曲 一緒に奏でよう》 >> スギテツ

スギテツの杉浦さん(左)と岡田さん

 ピアノ杉浦哲郎さんとバイオリン岡田鉄平さんによる音楽デュオ「スギテツ」。クラシック曲に、童謡やCMソングなどを融合させるユニークな演奏スタイルが持ち味。時には観客も巻き込みながら展開するコンサートに魅了されるファンは多い。2014年から「せんくら」出演を続ける2人。今年はいったいどんな演奏を繰り広げるのか、企画や演出を担当する杉浦さんに聞いた。

 突拍子のないようで「あの曲だ」と分かる演奏に、絶妙な掛け合い。「スギテツが大切にしているのは遊び心」と杉浦さんが語る通り、2人のステージはいつも笑いと歓声に包まれている。観客をいつの間にか音楽の世界に引き込んでしまうスタイルは、せんくらのモットー「だれでも気軽にクラシック音楽を楽しめる」にぴったりだ。

 そんなスギテツのステージは全2回。「楽器を持って大集合! クラシックで遊ぼう! スギテツファミリー音楽会」は、チャイコフスキー「くるみ割り人形」と、アニメ「ちびまる子ちゃん」の主題歌をミックスした「葦笛(あしぶえ)のおどるポンポコリン」など、大人も子どももよく知っているメロディーが中心。

 観客に好きな楽器を持参してもらい「線路は続くよどこまでも」を合奏するコーナーも設ける。持ち込まれる楽器はバイオリン、鍵盤ハーモニカ、リコーダーや、カスタネットなどが多い中、「時には民族楽器など、滅多に見かけないアイテムを持ってくる人もいます。そういう偶発的なことが起こるのも面白い。そして、誰もが知っている曲にアレンジが加わるとどうなるかを体感できる、面白い仕掛けも用意しています」。詳しくは会場でと、はぐらかしつつ杉浦さんは「旋律楽器の人は曲をなぞれるようにしておいてね」と「宿題」を出した。

 もう1つの公演は「祝・結成20年! オトナのスギテツ独演会 ~昼下がりの冗談音楽フェスティバル」(公演番号7)。こちらは時事ネタや風刺を織り交ぜた「オトナのステージ」だそうだが、こちらも遊び心にあふれたステージになりそう。杉浦さんは「家に帰った後、ぼくたちの演奏が家族の話題になるくらいステージを盛り上げたい。ぜひたくさんの人に来てほしい」と意気込む。

公演番号7
10月4日(金)13:15~14:00
日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)シアターホール

公演番号42
10月5日(土)16:30~17:15
太白区文化センター 楽楽楽ホール

《0歳からOK 親子にお薦めのステージ》

音をみんなで楽しもう >> はじめてのおんがくかい ―あかちゃんもいっしょⅡ

 新米パパでもあるコントラバス担当の名和俊さんがプロデュースする、赤ちゃんのための「ファーストコンサート」。ピアノの田中絢子さんと、楽しい演奏を繰り広げる。曲はサン・サーンス「ぞう」、團伊玖磨「ぞうさん」、アラン・リドー「小さな悲しい音(ナレーションとコントラバスのためのメロドラマ)」ほか。

公演番号 16
10月4日(金)10:30~11:15
太白区文化センター 展示ホール

初めてのクラシック体験 >> 岡田奏 0歳からのコンサート ピアノの名曲と共に みんなで世界を旅しよう!

 ディズニー映画「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」やモーツァルト「トルコ行進曲」など、子どもたちにもなじみのあるメロディーをピアノ演奏で送る。さまざまな名曲に触れるうち、世界を旅しているような気分になれるだろう。

公演番号 44
10月5日(土)10:30~11:15
太白区文化センター 展示ホール

愉快なお芝居 リズムに乗せて >> ちるとちるとみちる ああ、お母さん聞いて! ~ピノキオとブルーフェアリーの物語~

 今日は待ちに待った星の女神「ブルーフェアリー」のコンサート。でも、いたずら好きのピノキオがこっそり紛れ込んで…。モーツァルト「きらきら星変奏曲」やアメリカ民謡などの音楽をお芝居と共に届ける、わくわくするコンサートのはじまりはじまり。

公演番号 71
10月6日(日)10:30~11:15
太白区文化センター 展示ホール

文/佐藤 陽子
(河北ウイークリーせんだい 2024年7月11日号掲載)

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