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<ふらり酔ってこ>季節の日本酒 心躍る飲み比べ|並行複発酵屋 かけはし

並行複発酵屋 かけはし(仙台市青葉区一番町)

利き酒師の資格を持つ店主の小野寺さんに日本酒の魅力を教わり会話が弾む

 大の日本酒好きだが、実はお酒にあまり強くない。量を飲めないから、いろんな種類をちょっとずつ飲めるお店はありがたい。 

 訪ねたのは「並行複発酵屋かけはし」。利き酒師の資格を持つ小野寺篤史さんが、自身のお気に入りという長期熟成酒、季節のお薦めの日本酒計30種を全国から厳選、1杯120㍉㍑の飲み比べやすい量で提供してくれる。 

 一番人気は、味の異なるお任せ2杯に料理3品がついた「丸投げセット」(1980円)だが、今夜はおちょこでいただく「日本酒3種呑(の )み比べ」と、その日お薦めの肉・魚介・野菜料理が1品ずつ付く「三種盛り」といこう。 

 ずっと気になっていた「納豆バター」も追加で注文。杯と箸をちびちび動かし、組み合わせの妙をゆっくり楽しむ。ペアの作り方によって同じお酒、料理でも味わいが大きく変わるのが面白い。

写真奥から「日本酒3種呑み比べ」(1180円)、仙台麩(ふ)がバゲット代わりの「納豆バター」(380円)、「おまかせおつまみプレート3種盛り」(780円)。この日は左から「白カビのサラミ」「ホタテの漬け」「辛・ミニトマトピクルス」。小野寺さんは「夏こそ燗酒」(同奥左)と薦める

 次回は、今の季節にもぴったりなクミンを利かせた「羊肉(ラム)水餃子」か、「花椒(ホアジャオ)香る麻婆(マ ーボー)豆腐」か。小野寺さんお得意のスパイシーな料理は、日本酒にもよく合いそう。 

 温度による日本酒の味の変化も試したい。ここでは冷酒、常温はもちろん、40〜80度の好みの温度帯の燗(かん)酒を年中楽しめるのがうれしい。 

 いざ、夏の燗酒。小野寺さんお薦めの40度のぬる燗をいただく。ふくいくと立ち上る香り、舌先からじんわりしみるおいしさが連日の暑さで冷たい食べ物や飲み物を取り過ぎて弱った体と心をゆるゆるほどいてくれるようだ。 

 「燗には『独特の匂いが苦手』など悪いイメージを持っている方もいますが、うちで飲んで好きになってくれる方も多いです」と小野寺さん。 

 種類に温度、意外な料理との相性、日本酒の幅広い楽しみ方を再発見させてくれる。

厳選した全国各地の熟成酒15種とフレッシュな日本酒15種が味わえる。時季によって品ぞろえが異なり、これからの時季はひやおろしなどが登場する予定。1杯120㍉㍑780円から
酒蔵が新酒の完成を知らせるために玄関口に掲げる「杉玉(酒林)」が飾られている

仙台市青葉区一番町2-3-30
壱弐参(いろは)横丁内
営/17:00~23:00
  ※日、祝日は15:00~22:00
休/木曜
TEL 022-265-2325

【ふらり酔ってこ】
今回の執筆は菊地史恵さん。日本酒とパンに目がない食いしん坊ライターです。

写真/田附 絢也

(河北ウイークリーせんだい2024年8月8日号掲載)

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