仙台・もつ焼き丸昌が復活へ 火災で焼失の「せんべろの聖地」25年3月にも現地で 再開望むファンの声が後押し
2022年12月に仙台市青葉区中央1丁目であった火災で焼失した大衆酒場「もつ焼き専門 丸昌」が、来年3月にも現地で再開する。東日本大震災後に「復興支援酒場」として被災地復興を支え、その後1000円でべろべろに酔える「せんべろ」の聖地となった店が、再び市民に愛される場を目指す。
おでん1個50円 昭和レトロの雰囲気も魅力
丸昌は12年11月、飲食チェーンドリームリンク(秋田市)が開店させた。同社が運営していた復興支援酒場を新装した。旧さくら野百貨店北側の通称「せんべろ通り」の先駆けの店として知られ、1個50円のおでんなど安価なメニューや昭和レトロの雰囲気が魅力で、幅広い年代に愛されてきた。
22年12月20日に同じビルに入る系列店から出火した火災で全焼。このほど、延焼した周囲の建物の外壁工事などが終わったことから、11月にもビルの再建が始まることになり、来年3月下旬ごろに開店できる見通しとなった。
前身の復興支援酒場は震災後の11年9月に期間限定で開店し、東京の店舗と合わせた利益全額を宮城、岩手、福島の被災3県に500万円ずつ寄付した。震災直後には系列店で帰宅難民の受け入れや炊き出し、復興作業員への食事の提供も実施した。
ドリームリンクの村上雅彦社長(61)は「復興支援酒場以降、仙台を盛り上げたいとやってきたが、火災で大変な迷惑をかけてしまった」と振り返る。このまま閉店することも考えたが、復活を望む声に後押しされる形で再開を決めた。
丸昌が入るビルを管理する仙都住宅センター(仙台市若林区)の藤野栄次会長(78)も後押しした一人で、「復興のための尽力に感銘を受けた」と語る。跡地に飲食店を出店したいとの多数の声を、「復興支援の恩もある。(丸昌に)駅前を盛り上げてほしい」と全て断ってきた。
村上社長は「再建は応援してくれる関係者やファンのおかげだ」と感謝しつつ、「昔ながらの横町文化は日本が誇る財産で、貴重な観光資源にもなる。もう一度仙台を盛り上げるために頑張りたい」と復活に向けて意気込んだ。
(佐藤駿伍)
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