強烈な悪臭を発する難敵、仙台で大量発生「天井にびっしり300匹」温暖化? 果樹園から?
「カメムシが大量に発生している」。「読者とともに 特別報道室」に仙台市泉区の男性読者から情報が寄せられた。触れると強烈な悪臭を発する難敵だ。関係機関に取材すると、温暖化の影響の可能性が浮かんだ。専門業者は「殺虫スプレーを使った駆除を」と呼びかける。
「掃除が大変。臭いもきつい」
泉区のマンションで管理人を務める60代男性は2日朝、出勤して目を疑った。共用廊下の天井と床に200~300匹ほどの緑色のカメムシがびっしりと張り付いていた。半日片付けに追われた。
昨年まで同じマンションでカメムシを見ることはほとんどなかったが、今年は7月ごろから毎日十数匹を見つけるようになった。「こんな状態が続くと掃除が大変で困る。臭いもきつい」と頭を悩ませる。
カメムシは夏に産卵し、生まれた幼虫は脱皮しながら成長して秋に活動する。暖かい場所を好み、冬は落ち葉や樹皮の下、民家の倉庫などでしのいで春に再び動き始める。
近年は温暖化に伴って越冬しやすくなり、個体数が増えているとみられる。農林水産省は7月、昨年12月~今年2月の平均気温が全国的に平年より高く、冬を越したカメムシが多かったとの見解を公表している。
過去10年で最多、専門業者「殺虫スプレーで駆除を」
宮城県病害虫防除所に話を聞くと、「過去10年で最多の被害」との答えが返ってきた。7月に県内10カ所の果樹園で行った調査で、果物に被害をもたらす「果樹カメムシ類」によるナシの被害が確認されたのは5カ所。平年は1カ所にも満たないといい、データ的には10倍近い被害に達したという。
果樹カメムシ類は主な餌のスギやヒノキの種子がなくなると、果樹園に飛んできてナシやモモ、リンゴなどの果汁を吸い、品質を低下させる農家の敵。防除所の担当者は「果樹園から市街地に移動した可能性は否定できない」と推定した。
総合防虫管理の三和商事(仙台市)は、朝晩の気温が下がりつつある中、カメムシが冬に備えて暖かい場所を求めた結果、市街地で目撃につながっていると分析した。日当たりが良い、建物南側の壁に寄りつく傾向が強いという。
同社の佐藤昌司社長(68)は「カメムシを見つけたら手では触れず、殺虫スプレーを使った駆除を勧めたい。カメムシ用でなくても、蚊やハエ用でも構わない」と助言した。(吉江圭介)
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