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山形・寒河江の「矢沢梅」、世界の塩で梅干しに 地元の醸造店、10日発売 第1弾は「オフランス梅ぼし」

フランス産の塩を使った「オフランス梅ぼし」を手にする鴨田さん

 山形県寒河江市の醸造業鴨田太平(たへい)商店は、地元のウメの固有種「谷沢(やさわ)梅」を世界各国の塩で梅干しにして販売するプロジェクトを始めた。第1弾としてフランス産の塩を用いた品を10日に発売。地域で愛された梅の魅力を引き出し、県外で低い認知度の向上を目指す。

 皮切りとなる「オフランス梅ぼし」(140グラム、1200円)は谷沢梅をフランス・カマルグ地方の天然塩だけで約3週間漬け込み、自社栽培の赤ジソで色付けした。カマルグはゲランド地方と並ぶフランス国内の名産地として知られる。

 谷沢梅は同市谷沢地区で古くから栽培され、果肉と種が離れやすいのが特長。主に梅干し用として住民らに親しまれてきた。

 プロジェクトを企画した鴨田太平商店の5代目鴨田広樹さん(43)は「海外の塩を使ったのは初めて。透明感のある、すっきりした新しい味に仕上がった」と手応えを語る。

 鴨田太平商店は1891(明治24)年創業。みそ醸造の傍ら、約40年前から自社栽培する谷沢梅を年約20トン使い、梅干しを製造する。新潟産の自然塩だけで漬け込んだ素朴な味でファンを引き付けてきた。

 近年は地域の高齢化や人口減などで需要が減少。包装のデザイン変更や公式通販サイトの開設など新たな顧客獲得に力を注いだが、谷沢梅の知名度の低さが課題だった。

 「県外の催事で販売しても全く知る人がいなかった。良質なウメだと知ってもらうきっかけをつくりたかった」と鴨田社長。家業を継ぐ前の約6年間に東京で和食やイタリアンの料理人をした経験を生かし、世界中の塩を使った新商品の開発を考案した。

 自社商品の強みを強調した「いい塩梅(あんばい)プロジェクト」と名付け、来年以降は年間3、4種ほどの製造、販売を目指す。国内の自然塩やヒマラヤ岩塩などとの融合を構想。地震と豪雨災害に見舞われた能登半島の塩を復興支援として使うことも考えている。

 「オフランス梅ぼし」は50パック限定。同市八鍬の直営店と公式通販サイトで取り扱う。

自社で栽培する樹齢100年超の谷沢梅

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