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岩手・北上で千三忌 戦没者悼み40年 記憶つなぐ

 太平洋戦争に出征し23歳で戦死した農民兵士、高橋千三(せんぞう)さん(岩手県北上市出身)の墓前に岩手県内の女性たちが集う「千三忌」が20日、北上市和賀町であった。有志が1985年に始めた墓参は今年で40回目を迎え、参加者は戦争の記憶をつなぐ決意を新たにした。

40回目の「千三忌」で、墓前に菊の花を手向け手を合わせる小原さん(左)ら=20日午前9時40分、岩手県北上市和賀町

 墓は、終戦前年の44年11月4日にニューギニア戦線で死去した千三さんを悼み、母セキさん(1892~1967年)が建てた。母子が眠る墓は県道沿いにあり、「南無阿弥陀仏」の文字が刻まれている。

 墓参したのは、市内で読書会を重ねる女性たちのグループ「麗(うら)ら舎」の会員ら70~90代の男女8人。グループ主宰の小原麗子さん(89)=北上市=らが献花し、手を合わせた。

 戦時中に姉を亡くした小原さんは、女性と戦争の関わりを考える過程で、千三さんを失ったセキさんの歩みを知り、会員の仲間と共に墓を訪れるようになった。40年にわたり毎年、命日の前後に千三忌を行う。

 参加者は終了後、近くにある小原さんの自宅で戦争体験や平和について語り合った。小原さんは「毎年、戦争のない世界を祈ってきた結果、人が集まるようになり、こんなに長く続いた。これからも自然体で続けたい」と話した。

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