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クマ対策の肝は「出合わぬこと」 宮城県山岳遭難防止協が県警で研修会 東京農工大院・小池教授が講演

「クマは防御目的で人を攻撃する」と話す小池教授

 宮城県山岳遭難防止対策協議会の研修会が22日、県警本部であった。東京農工大院の小池伸介教授(生態学)がツキノワグマの被害対策をテーマに講演し「遭遇してからできることはほとんどない。出合わないように対策を取る必要がある」と説いた。

 小池教授はクマの攻撃を受けると、失明や顔面まひなど重傷に至る恐れがあると指摘。人と遭遇することを嫌がる習性があるとして「人間の存在を知らせ、立ち去らせることが大事」と強調した。

 対策として、登山道や見通しの良い場所を歩いたり、鈴やラジオを使って音を出したりすることを挙げた。研修会には警察官ら約60人が参加し、クマの生態への理解を深めた。

 県自然保護課の担当者は、今年はクマの餌となるブナ類の実が豊作で、出産数が増える可能性を指摘。「冬眠明けの来年春に被害のリスクが高まることが想定される」と述べ、警戒を呼びかけた。

 同課によると、本年度の県内でのクマの目撃件数は15日時点で680件。前年同期比で52件減り、人身被害はゼロ。餌を求めて人里に出没するケースが少なかったとみられる。

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