ひきこもり支援、オンラインの「居場所」で 仙台市が10月30日開設へ、メタバースを活用
仙台市は30日、ひきこもり状態にある人とその家族のオンラインの居場所「ここにいるよ。 kokoiru」を開設する。参加者同士が実名や顔を出さず気軽に交流し、社会とつながるきっかけにしてもらう。
インターネット上の仮想空間「メタバース」で、参加者はアバター(分身)を操作し、チャットなどを自由に楽しめる。臨床心理士や社会福祉士の個別相談も予約制で受けられる。
時間を区切った多様なプログラムを用意。おしゃべりしながら食事する「一緒にディナー」、音楽を聴いたり歌ったりする「唄ごえカフェ」、年代や性別ごとのグループで悩みを共有する「けやきの会」などから選べる。見るだけ、聞くだけの参加も可能だ。
市が2023年度に初めて行った全世帯調査で、仕事や学校などに行かず、家族以外との交流がほとんどない「ひきこもり状態」にある人は市内に少なくとも3956人いると判明。相談機関を利用したことがない世帯は42・2%に上り、支援が十分に行き届いていない実態が浮き彫りになった。
郡和子市長は22日の定例記者会見で「対面でのコミュニケーションに不安がある人がさまざまな体験を通して自信をつけ、それぞれの夢に向かって歩み出してもらいたい」と期待した。
開設日時は11月が毎週水曜の午後1~9時、12月以降は第1土曜の午前10時~午後6時と第2、3、4水曜の午後1~9時。参加無料。利用登録は「ここにいるよ。」のホームページから。
市内でひきこもりに悩む人を支援する社会福祉法人「わたげ福祉会」、心のケアを担う任意団体「仙台テラピ・ド・ジュ研究会」が共同で運営する。本年度の事業費は626万円。市は利用状況などを踏まえ、来年度以降も開設する方向で検討する。
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