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宮城・蔵王町遠刈田温泉の「五輪さん」が神社参道にお引っ越し 今春に暴風被害、住民有志が修繕

神社参道に移設された五輪堂

 お参りすると吹き出物やいぼが治ると言い伝えられている宮城県蔵王町遠刈田温泉の墓碑「五輪堂」が、同じ温泉街にある刈田嶺神社参道に移設された。今春、暴風で屋根が吹き飛ばされる被害に遭い、地元住民が「五輪堂伝承の会」を立ち上げ、修繕に尽力した。

 現地で10月25日に落成式があり、約20人が出席。伝承の会会長の村田盛さん(80)は「地域にとって身近な存在。末永く愛されるよう見守りたい」とあいさつした。

 五輪堂は元々、遠刈田温泉街を通る国道457号から住宅地に入った地区に設置されており、訪れるにも場所が分かりにくい難点があった。町のまちづくり交付金や企業、住民の寄付金を活用して移転することが決まった。

 五輪堂に関する詳しい文献はなく、地元住民によると、古くから「五輪さん」の愛称で親しまれていた。いぼや吹き出物ができた体の部分をさすってから五輪堂を触ると患部が治ると言われ、お礼に生卵を供える習わしがあったという。

 落成式に出席した岩沼市の建設会社役員金山正一さん(80)は幼少期、五輪堂近くに住んでいた。「子どもの頃、実際に触って治った記憶があり、守り神だった。感謝や寂しさ、いろいろな感情が込み上げている」と振り返った。

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