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福島県産ブランド牛「福粕花」登場 餌に酒かす、うま味増す 9日販売開始

 福島県は、特産の日本酒の酒かすを餌に加え、うま味が増した県産牛の新ブランド「福粕花(ふくはっか)」が9日にデビューすると発表した。東京電力福島第1原発事故に伴う風評被害で価格低迷が続く県産牛のブランド力向上を狙う。

 福粕花は出荷前の90日間、粉末にした県産の酒かすを1日100グラム餌に混ぜて与えた福島牛のうち、肉質が最高の5等級の牛。県と全農福島、福島大が2021年から共同開発した。

 酒かすにはタンパク質やビタミンB、食物繊維が豊富に含まれ、牛の食欲も増すという。肉質はうま味成分のイノシン酸が通常より多く、やわらかくジューシーで脂の甘みが強くなった。

 名称は、甘く華やかな香りから花開くおいしさをイメージした。公募した3422点の候補から、福島県郡山市出身のクリエーティブディレクター箭内道彦さんが委員長を務める選考委員会が選び、ブランドロゴも同氏が監修した。

 本年度は約140頭を出荷予定で、28年度までに年間300頭に増やす。当面は県内のみの販売で、9日のデビューイベント後、量販店やレストランで提供する。

 県によると、県産A5ランク牛の枝肉卸売価格は全国平均より1キロ当たり約200円安い。内堀雅雄知事は2日の定例記者会見で「福島牛のブランド化をけん引し、風評払拭につなげる。認知度向上と販売促進に取り組みたい」と述べた。

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