温もりのともしび【特集】クリスマスにキャンドルを
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もうすぐやってくるクリスマス。家庭のテーブルにキャ
ンドルをともし、穏やかに迎えてみるのはいかが。制作体
験ができる教室や個性光る作家のキャンドルを紹介する。
■作ろう
世界に1つだけのキャンドルを自分で制作できたら、きっとすてきだろう。そんな願いをかなえてくれる教室がある。
▶小さな銀河 閉じ込める ~felicity candle~
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星空や鉱石をモチーフにしたキャンドルの制作体験ができるfelicity candleの「ワンデーレッスン」(3500円から)。体験時間はキャンドルの種類や個人差にもよるが1時間~1時間半ほど。「自分だけの作品を作る楽しさ、火をともしたときのときめきを体験してもらえたら」と話すのは、講師でキャンドル作家の須田久美子さん。
実際のレッスンを見せてもらった。受講するのは仙台市青葉区在住のSさん。須田さんの作品を知り世界観に引かれたという。今回作るのは「銀河を旅するキャンドル」。ぷにぷにした質感のジェルキャンドルの中にキラキラな「銀河」が広がる、須田さんのオリジナルだ。アドバイスを受けながら、スムーズに作業を進めていくSさん。完成後は作品を眺め、「思った以上にきれいな仕上がりになって満足です。次は青色で作ってみたい」と意欲を見せた。レッスン予約はQRコードから。15種類ほどあるレッスンメニューはどれも魅力的で、どれにしようか迷ってしまうかも。
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【DATA】
仙台市太白区越路12-24 フェヒル越路503
営業時間/10:00~21:00
休/不定休
▶浮き上がる草花の陰影 ~Lamp of Hope~
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東日本大震災を契機に開業したというLamp of Hope。店名には、キャンドルが誰かの希望の光になるようにという願いが込められている。店にはオリジナルキャンドルや骨董品など、癒やしと温かさを感じる商品が多数並ぶ。キャンドルをもっと身近に感じてほしいとの思いから、オーナーの相原真也さんが講師となり、キャンドル作りを始め多彩なワークショップを企画(要事前予約)している。
今回は本物の草花を使用した「ボタニカルキャンドル作り」(2200円から)に筆者が挑戦。装飾材料はクリスマスをイメージしてプリザーブドフラワーや果物、種子などから選んでみた。完成後に火を付けると、炎が草花の陰影を浮かび上がらせ、アロマの甘い香りが広がり心地よい。制作作業の合間には、相原さんがキャンドルの正しい使い方やメンテナンス方法、ろうそくの豆知識などを教えてくれた。体験の予約はWEBサイトからできるほか、電話、各種SNSでも受け付けている。小さな子どもでも作りやすい体験メニューもあるので、親子一緒の制作体験も楽しめる。
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【DATA】
仙台市泉区根白石堤下22-3 TEL022-343-6940
営業時間/11:00~18:00
休/月・火曜、12月30日(月)~2025年1月7日(火)
■飾ろう
ウイークリー編集部員が街で見つけた個性的キャンドル。手がけた作家2人に話を聞いた。
▶溶けゆく姿も楽しんで ~阿部笙子さん~
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水の揺らぎを表現したという「水の灯り」。溶けたろうを水に浮かべ、何枚もパーツを作り、重ねて層にしたキャンドルだ。同じ方法で作っても同じ形には決してならない。
手掛けるのは、仙台市在住のキャンドル作家、阿部笙子さんだ。「ろうがどう透けて見えるか、溶けた時に光り方がどう変化するのか、常にイメージしながら作っています」とキャンドル作りの姿勢を話す。
阿部さんがキャンドルを作り始めたのは40年以上前。子育てが一段落した後、「自分だけのために何かしたい」と思い立ち、キャンドル教室に通い多くの技法を学んだ。「当時は今のようにキャンドルをともすことは一般的ではありませんでした。キャンドルの魅力をもっと広められたらと、個展やコンテストにも積極的に挑戦しました」と振り返る。1993年から毎年開催している個展は今年で31回目を数え、来場した人の目を楽しませた。
アート色の強い阿部さんのキャンドル。すごく高そうに見えて実はそうではない。卵の殻にろうを流し込んで作った「しあわせ卵」は800円と、ちょっとしたプレゼントにも最適。手間暇かけた「水の灯り」でも3600円だ。
「使ってもらわないことにはキャンドルの意味がありません。火には人の心を落ち着かせる効果があるといいます。忙しさに流されがちな時にこそ、好きな香りや音楽と一緒にキャンドルの火を眺めて、静かな時間を大切にしてほしい」と話す。阿部さんは毎月第3金曜に、青葉区の「坐・カフェ」でキャンドルナイトを開いている。多くの作品が並ぶので、気になるキャンドルがあれば足を運んでみては。
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【DATA】
キャンドルナイト 12月20日(金) 17:30〜20:00
会場/坐・カフェ 仙台市青葉区大町1-3-7 裕ビル1階
TEL022-266-4632
▶わびさび感じる和の光 ~古灯蝋燭店~
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「祖母の家がお寺で、ろうそくが身近で使われていました。古い家屋にともる安らかな明かり。幼い頃に見たそんな景色がキャンドル創作の原点で、屋号の古灯蝋燭店の由来です」。そう話すのは店主でキャンドル作家の阿部博史さん。大学時代から独学でキャンドルを作り始め、2021年に作家の道へ。工房のある宮城県塩釜市を拠点とし、オンライン販売を中心にカフェでの展示や商業施設のイベントなど広く活動している。
自分の見た風景を作品に落とし込むことが多いという阿部さん。キャンドルは、わびさびを表現したという深い色味と、どこか懐かしさを感じさせる作風が特徴。この時期に人気があるという「雪蝋樹」(大3000円、小1900円)は、厳冬期の氷雪に耐える針葉樹林をイメージ。「回転木馬」(3500円)は、閉園した遊園地で見た「朽ちたメリーゴーランド」から着想した。あえて成形後に一部を削り、荒廃した様子を表現。「ろうが溶けて形が変わり、やがて消えていくはかなさもキャンドルの魅力。使った人の心が浄化されるような作品を届けられたら」と話す。材料にも気遣いが光る。染料に植物由来100%を、油脂には手に優しいコメ油を使う。「蝋燭店を名乗るからには和の物にこだわりたい」とは阿部さんの弁。
販売方法も独特でオンラインショップでは「月明かりのない夜に光を」をモットーに、新月の夜に商品を補充する。2025年1月11日(土)~13日(祝)には、青葉区大町のギャラリーパーマネントにて個展「ワルツ」を開く。作品を直接見る貴重な機会だ。詳細は後日WEBサイトで告知する。
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(河北ウイークリーせんだい 2024年12月12日号掲載)
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