仙台藩伝統「門松」の掛け軸見つかる 仙台市博物館で3月2日まで展示
仙台藩伝統の門松を描いた江戸中期の作とみられる掛け軸が見つかった。仙台市博物館は「仙台藩で飾られていた門松の特徴を示す貴重な史料」と話し、初の展示を3月2日まで行っている。
掛け軸の絵は縦約28センチ、横約56センチ。松や笹竹をくくり付けた2本の柱の上部に竹を渡して門構えにしたという全景が、墨と顔料を用いて素朴な筆致で表現されている。
江戸時代の正月、門松は全国的に設置されたといわれる。絵に描写された柱の根元に据え付けた3枚の割り木、3段に枝分かれした「三階松」は仙台藩の特色とされる。
作者は伊達騒動(寛文事件)で命を落とした涌谷伊達家当主伊達宗重(1615~71年)と伝わる。掛け軸の裏に宗重の作と記されており、描き方や紙の質からも江戸時代の作と推測できるという。
絵には和歌が添えられている。「新勅撰(ちょくせん)和歌集」に収められた藤原経宗の<移し植えて/注連(しめ)結う宿の/姫小松/幾千代経(ふ)べき/梢(こずえ)なるらん>。一族繁栄の願いが込められているとみられる。
市博物館の学芸員が昨年6月、古物商の目録の中から発見し、購入した。同館の倉橋真紀さん(53)は「上部の形状を含め、当時の門松の全体が分かる絵は貴重だ。掛け軸から門松の大きさを感じてもらいたい」と話す。
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