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解体現場から出てきたのは「2代目仙台市役所」の鉄筋だった!? モニュメントとして展示中

「白亜の殿堂」と呼ばれた2代目の本庁舎(仙台市提供)

 仙台市役所の現地建て替え工事が進む現場に、現本庁舎の先代に当たる2代目の基礎に使われた約100年前の鉄筋を材料にしたモニュメント「仙台シティホールツリー」が展示されている。基礎は敷地南側の噴水広場を解体した際に見つかった。建築工事を請け負う大林組が代表の共同企業体(JV)が企画して、昨年12月中旬、仮囲いの外から見える南西角地に設置した。

1929年完成「白亜の殿堂」の基礎

 モニュメントは高さ約3メートル、重さ約200キロ。ステンレス製の支柱を立て、下部は三角すいのような形状にした。

 2代目基礎の鉄筋は直径約10ミリ、16ミリ、25ミリの3種類の太さ。下部は三角すいの内部に縦横にはわせ、上部は支柱に巻き付けたほか、頂点には市章のデザインに加工して取り付けた。

 1929年完成の2代目本庁舎は地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造。仙台市生まれの建築家細谷慎治が設計し、直線的な力強さを強調したルネサンス様式で「白亜の殿堂」と呼ばれた。65年に3代目の現庁舎が完成し、66年に取り壊された。

噴水広場を掘削し、姿を現した2代目本庁舎の基礎(大林組JV提供)

 基礎の一部は、地元企業が手がけた噴水広場の解体工事が終わった7月末ごろには露出していた。現場を引き継いだ大林組JV工事事務所の浅野英樹所長(60)は「どう見ても噴水の基礎ではない。もしかして、とは思った」と振り返る。

 建築工事でさらに掘削を進めた昨年10月、2代目の図面と照らし合わせた結果、基礎部分の約1800平方メートルがほぼそのまま残っていると判明。11月には地元の大学研究者や郷土史家らでつくる「近代仙台研究会」の情報提供で、節があるのが特徴的な米国企業製の「トラスコン鉄筋」を採用していた事実も分かった。

 一連の経緯を踏まえ、JVはモニュメントへの活用を決定。鉄筋は一定の大きさの塊にしてスクラップ業者に出していたが、コンクリートを圧砕機で慎重に崩し、真っすぐなまま取り出すなどした。

「仙台シティホールツリー」を囲んで話し込む浅野さん(左)、星野さん(同2人目)ら

 モニュメントの制作は12月上旬、フジ鉄鋼建設(若林区)に依頼。完成イメージのスケッチと鉄筋を預け、10日ほどで仕上がった。設置場所は市道表小路線沿いで、仮囲いの透明部分から眺められる。午後4時半~9時ごろ、ライトアップもしている。

 「何も分からなければ壊してしまうところだったが、100年前の鉄筋と聞いて残したいと思った」と説明するのは、同事務所の星野明弘統括所長(58)。「市民にツリーと工事現場を見てもらうことで、庁舎の歴史や4代目となる新庁舎に思いをはせてもらいたい。ものづくりの楽しさも伝えていきたい」と力を込めた。

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