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宮城・キツネ村起点の「回遊プラン」台湾に売り込みへ 寿司店、こけし館、ふるさと村…

台湾訪問の打ち合わせをする黒井社長(右)や自治体の関係者ら=1月29日、宮城県蔵王町の宮寿司

 宮城県白石市の宮城蔵王キツネ村を起点にインバウンド(訪日客)を仙南地域に誘導しようと、地元企業と自治体が手を組み、回遊プランを近く台湾へ売り込む。キツネ村の来園者は県内の他の観光施設に足を運ぶことが少なく、隣県の山形、福島に向かってしまっているのが現状。関係者は「移動時間を短くし、近隣の観光スポットを回れるプランを提案したい」と話す。(白石支局・剣持雄治)

白石温麺を堪能、こけしの絵付け体験も

 キツネ村の佐藤光寛社長と川崎町の解体業丸正精建の大宮正春会長が発起人となり、蔵王町の飲食店「宮寿司(ずし)」の黒井昭寿社長と蔵王、川崎両町の自治体関係者らがプランを練った。

 具体的には、台湾人の好みに合わせた仙南回遊コースを提案する。キツネ村で放し飼いのキツネたちを見学後、宮寿司に移動して白石特産の白石温麺(うーめん)やすしのランチを堪能。こけしの絵付け体験が楽しめるみやぎ蔵王こけし館(蔵王町)、かやぶき屋根の古民家が並ぶ国営みちのく杜の湖畔公園(川崎町)のふるさと村を回って、仙南の観光スポットを満喫する。

 今月中旬にはPRとリサーチを兼ね、黒井社長ら4人が3泊4日の日程で、台湾を訪れ、大手旅行会社ライオントラベルなど15社ほどを回る。同行を予定する蔵王町農林観光課の平間和彦課長補佐は「四季折々の自然、食など、地域が持つポテンシャルを存分にアピールしたい」と語る。

 各施設を「キツネ村推薦の観光地」と記したパンフレットも既に2000部作成。台湾訪問時は現地で500部を配る予定だ。

 プランを企画した背景には、現地の人たちのキツネ村に対する関心の高さがある。

 黒井社長によると、昨年9月下旬、単身で台湾の旅行会社に飛び込みの営業をかけた際、キツネ村の推薦状を見せると、日本語を話せるスタッフが複数人で応対してくれるケースがあった。年末には営業の効果が出始め、120人を収容できる店が満席になる日も珍しくなくなった。

 キツネ村には年間20万人の来園者が訪れ、訪日客が約6割を占める。国別で最も多いのが台湾で、中華圏の春節(旧正月)の時期を中心に団体客が殺到する状況が続いている。訪日客の仙南地域での滞在時間をいかに増やすかが課題になっている。

 黒井社長は「官民が連携した完全手作りのプロジェクト。台湾で絶大な知名度を誇るキツネ村をキーワードに、仙南地域の魅力を伝える」と意気込む。

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