春うらら【特集】すてきなカバン

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　間もなく春。新年度。進学、就職、転勤と節目を迎える人も多いのでは。通勤・通学に欠かせない「カバン」について、調べてみた。

■人気のカバンって？　～仙台の老舗カバン店に聞いてみた～

　小中高生向けからビジネス向けまで幅広く扱い、創業105年を迎える青葉区の老舗「東京屋カバン店」。同店の山田高史さんに仙台のカバンの流行や人気製品について聞いた。

　店内に足を踏み入れると、中高生の通学カバンとして主流となっている黒いリュックがずらり！　山田さんによると、通学カバンは「推薦入試での進路が決まる１月ごろから動き出す」という。通学カバンの定番カラーは「黒一択」。「みんな黒だと誰のものか分からないのでは？」と心配だが「そこは大きめのキーホルダーを付けて個性を出すのが流行です」と山田さん。

　通勤カバンはこれから本格的に動き出す時期だ。いかにも「ビジネス」という雰囲気の製品より、男女ともに落ち着いたベーシックカラーで、リュック型が主流になりつつあるという。また、ショルダーやトートバッグを選ぶ人も少なくないとか。

▷主流はリュック、「軽さ」重視
　通勤・通学ともに共通するキーワードは「軽さ」だ。バッグ自体が軽く、持ち運びしやすいことが求められている。学生・社会人ともノートパソコンやタブレット端末を持ち歩くシーンが増えており、専用のクッションポケットや仕切りが付いたものも人気だ。

　他に、A4サイズが入ること、弁当やマイボトルのスペースを取ったものなど形状・仕様はさまざま。「ポケットや仕切りがたくさんあればあるほど重くなる」そうで、運びやすさと機能性のバランスは悩みどころかもしれない。

　「迷ったら遠慮せず店員に相談してほしい」と山田さん。収納したい物や具体的に使うシーンを思い浮かべ、専門家のアドバイスを聞きながら、自分のライフスタイルにぴったりのカバンを選ぼう。

〇通勤用には…
　社会人向けもリュックは人気。パソコンなどを入れる仕切りやデジタル製品を入れるポケットなど機能性が充実しているものが多い。

　女性にはピンクやベージュなどの明るい色のトートバッグも人気だ。A4サイズが入るのはもちろん、最近はより大きめのカバンが好まれる傾向だ。「仕事帰りにスーパーやコンビニで買い物したものも入れたい」というニーズがあるとか。男性は業種にもよるが、リュック以外ではベーシックカラーのトートバッグを選ぶ人も増えている。

〇通学用には…
　教科書や部活動の道具、パソコンなど荷物が多い中高生には30L前後のリュックがお薦め。数年前に人気を集めたスクエア型から丸みを帯びた形が主流に変化しつつある。一部の高校生にはショルダー型のスクールバッグが人気だが「明るめのカラーの『スクバ』は入手困難なほど人気。ただ、使い始めると荷物が入りきらず買い替えることもあるのでよく検討を」とアドバイスする。

　リュックのお供のサブバッグは、かわいらしいキャラクターやロゴの入った白いキャンバストートが人気。黒いリュックに明るさをプラスできる。大流行したバレーボールメーカーの製品は「ほとんど見なくなった」とか。

〇旅行用には…
　静音・4輪キャスターのキャリーケースが一般的になり、10年ほど前からは軽いポリカーボネート製で開閉しやすいファスナータイプが主流に。「外ポケットあり」「キャスターのストッパー付き」などの機能もトレンド。コロナ禍を経て海外長期旅行が減り大型ケースの需要は縮小傾向。「家族旅行でも小さめのケースを1人1台持つスタイルを見かける」とか。機内持ち込み対応や1泊旅行向けで、小型の27Lサイズも人気だ。

〇カバンいまむかし
　創業105年の老舗とあって、社内にあった古い製品も特別に見せてもらった。

　手前は最近見ることが少なくなった革製の学生カバン。まだ、学校によっては学校指定品として現在も購入できるそう。奥は、おそらく昭和高度成長期に販売していたという海外ブランドの合成樹脂製のスーツケース。山田さんは「海外にもこれで行っていたと聞きます」と話す。10年後、20年後の通勤通学や旅行には、どんなカバンが使われているのだろう。

■好みのカバンを作る　～オーダー対応店に行ってみた～

　「もう少し持ち手が長ければ」「ここにポケットがあったら」。そんな悩みを解決するのがオーダーバッグ。青葉区で洋服やトートバッグをオーダーメイドで手がけるショップFIFTEENのデザイナーの熊谷伸彦さんに話を聞いた。

〇持ち手、ポケット位置 自在に

　オーダーに当たっては「普段バッグに入れている物を持ってきてもらっています」と熊谷さん。荷物の量に合わせて、スクエア型６種類、舟型３種類から大きさを選んだら、次は中ポケットをセレクト。店頭見本を見ながら、サイズや配置を調整していく。「鍵を入れるのでファスナー付きがいい」「マイボトル用のホルダーが欲しい」といった要望にも応えてくれる。

　素材は撥水（はっすい）性のあるろう引き帆布。硬い印象のある帆布だが、実際に持ってみると驚くほど軽く柔らかい。カラーは９色から選べ、さらに角や底面に補強の革を貼ることも可能だ。革の色も６色あるので、帆布との組み合わせを考えるのも楽しみの一つだ。

　価格はＳサイズ1万5400円、ＳＭサイズ1万7050円など。ショルダー追加、内ポケットにファスナー追加などはオプション。持ち手の長さや裏地の色もカスタマイズでき、注文から２週間ほどで完成。希望があれば名前の刺しゅうもでき、その場合の納期は約１カ月。

　製品は永久無料保証がついており、糸ほつれなどは無料で修理できる。既製品にはない「一生ものの」理想のバッグを作ってみてはいかが。

〇編集部T　衝動オーダー　～自腹で作ってみた～

　取材同行した編集部Tが、なぜかびっくり、取材当日にカバンをオーダー。実録「作ってみた」。そのてんまつは？

　買う気はなかったのです、本当に。10年近く使っている「家人のおさがりリュック」に大きな不満はないのです。が、店内の完成見本を見た時に私の中で「何か」が決壊してしまったのです、マジで。転がり落ちるような衝動オーダーです。

　仕事用＆自転車通勤のため「A4サイズが入る大きさ」「ショルダー付き」が必須条件。サイズは2番目に大きいMLにして色は黒。色のアクセントと強度を考えて底は茶の全面革に。床置きを考えて底にびょうを追加。

　仕様は、デザイナーの熊谷さんと相談しつつ30分以上かけて選びました。例えば、中ポケットにファスナーを付ける時「Ｔさんの利き腕が×なので、ファスナーは○側だと便利です」などアドバイスが入り、納得して進められます。

　というか、オーダー超楽しい。色、ポケットの大小、ファスナー有無など、選び迷うごとに胸がトキメキます。この喜びのためにオーダーがあるような気さえしました。

　最終的な価格は表の通り。告白すると一瞬「まずい」と思いました。「オプション付け過ぎ？」とも。でも、2週間後に完成品を手に取ったら価格は忘却の彼方。想定以上に軽い（実測999ｇ）のもうれしいところ。

　確かに「安くない」です。でも、オーダーの楽しさと自分だけの一品の満足感、長く使えるという信頼感。決して「高くない」買い物です。

■便利なアイテム、探してみた

　毎日使うカバンをさらに便利に楽しくするようなグッズはないだろうか。青葉区のハンズ仙台店で注目アイテムを教えてもらった。

　開くとマグネットで固定され、自立するバッグインバッグ。ペンケースとしてはもちろん、スマホスタンドとしても利用できる。

　韓国での大流行を受けて国内でも人気のぬいぐるみのキーホルダー。自分の好きなキャラクターを選んだり、仲間同士でおそろいにしたりしよう。

　サイドを持つと一気に畳めてコンパクトになるエコバッグ。

　カラビナフック付きでカバンに取り付けできるライト。手のひらに入る大きさで最大500ルーメン。災害時の備えにも。

(河北ウイークリーせんだい2025年２月20日号掲載)