仙台防災未来フォーラム2025【特集】一人ひとりが主役 ともに創ろう防災の輪

3月8日(土)、仙台市青葉区の仙台国際センター展示棟を主会場に「仙台防災未来フォーラム2025」(仙台市主催)が開かれる。東日本大震災の経験や教訓を伝える展示や発表を通じて、1人1人の防災意識に磨きをかけよう。
※仙台国際センター展示棟ほか、3月8日(土)9:30~16:30
■備える、伝える、助け合う 140団体超出展

「仙台防災未来フォーラム」は2016年から毎年開催し(19年は2回実施)、今年で11回目。第1回は、仙台で開かれた「第3回国連防災世界会議」(15年)の1周年イベントとして、東日本大震災の経験や教訓を伝えるため開催された。
今回のテーマは「一人ひとりが主役 ともに創ろう防災の輪」。市防災環境都市推進室の担当者は「防災は1人1人が自分事として主役になって行動しながら、年代、性別、国籍などを超えて共に取り組んでいくことが大切だと考えています」と説明する。
3月7日(金)~9日(日)には青葉区の国際センター会議棟で世界に防災情報を発信する「世界防災フォーラム」が開かれる。国内外の来場者が見込まれるため、ダイバーシティー(多様性)の視点も取り入れたという。
今年は、震災からの復旧・復興に加えて、気候変動をはじめとした環境問題や水害など、幅広く防災について知り、考えるプログラムをそろえる。ブース展示や発表以外にも、毎年人気の科学実験を交えて防災や環境について学ぶ「防災エンスショー」、お笑い芸人の小島よしおさんと防災を楽しく学ぶステージショーなど盛りだくさん。
災害時に活躍する車両として、陸上自衛隊の「野外手術システム車」や屋外で大量の調理が可能な「野外炊事車」を展示。元消防士が運営する「消防車型キッチンカー」や、災害時すぐに温かい食事を提供できる機能やテント、簡易トイレを備えた「レスキューキッチンカー」も登場する。
出展団体は年々増え、140を超える団体が参加する。仙台市内だけでなく、中部や関西からの参加もあり、地域も年代も幅広い。発生から1年が経過した能登半島地震の支援状況を取り上げる団体も多い。さまざまな観点から、防災や復興、伝承、環境について学ぶことができる。
担当者は「子どもから大人まで楽しみながら防災を学べるプログラムがいっぱい。ぜひ来場していただき、防災を自分事として考える機会にしてほしいです」とPRする。

〈親子で楽しもう!〉 ~仙台ふるさとの杜再生プロジェクト(ブース展示)~

仙台東部地域の海岸防災林などの植樹会、海辺の森を育てる取り組みを紹介。海岸防災林で採れた松ぼっくりで、かわいい人形を作ろう。
■環境フォーラムせんだい2025 ~ミッションをクリアして楽しく学ぼう! 環境アドベンチャーー環境フォーラムせんだい2025実行委員会(ブース展示)~

環境について楽しみながら学ぶ「環境フォーラムせんだい2025」も同時開催される。市民、NPO、学校、事業者、行政などでつくる「杜の都の市民環境教育・学習推進会議(FEEL Sendai)」の実行委員会が企画・運営。市内で活動する19の環境団体がブース展示やステージ発表を行う。実行委の学生メンバーに話を聞いた。
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実行委員会の学生メンバーは、大学のゼミやサークルで環境保全に取り組む有志。今回は来場者が各ブースを楽しんで周遊できるように、クイズやワークショップといったミッションを通して環境について学ぶマップを作製した。
廃棄物対策を学ぶ「資源ハンター」、自然共生に理解を深める「いきもの博士」、気候変動対策を考える「地球のお医者さん」など6種類のマップを作製。マップに沿ってブースを回り、最後に葉っぱの形をした紙に「環境のために何ができるか」を書いてもらい、「かんきょうの木」に貼ってもらう。
課題を達成すると景品がもらえる。景品は環境に優しい竹素材を配合したハンドタオルやタンブラーを用意。学生がデザインした「FEEL Sendai」のロゴを添えた。他にも出展者が提供する野菜が原料のクレヨン、自然物で作られたコサージュなどを準備する。景品を手にするたび、学んだことを忘れないでほしいとの思いを込めた。
宮城教育大3年佐藤あきかさんは「環境のために、明日から頑張ってみようというポイントを1つでも見つけてほしいです」とアピールする。
〈親子で楽しもう!〉せんだい農業園芸センターみどりの杜日比谷アメニス・日比谷花壇共同事業体(ブース展示)~

若林区のせんだい農業園芸センターみどりの杜の中で採取した植物を使った「ミニ額縁づくり」に挑戦しよう。草花の名前を学んで自然に親しもう。

■若者が発信 災害に強い社会へ
フォーラムでは、ステージや展示、ワークショップなど多彩なプログラムが用意されており、学生団体の参加も目立つ。若者の新鮮な視点と行動力で、被災地支援活動や災害に備える大切さを発信している学生に話を聞いた。
[災強のすけっと]
・発表▶︎学生と地域が広げる防災の輪 防災ワークショップ「防災アドベンチャー」の開催から見えてきたヒント
・ブース展示▶︎大人もこどももみんなで楽しく学ぼう! 災害の教科書「防災パンフレット」

「災強(さいきょう)のすけっと」は「災害に強い社会を創るお手伝い」をモットーに防災啓発活動を行っている。災害医療を学ぶ東北や北陸の医学部生が2023年4月に結成した。子どもたちが地域の備えを楽しみながら理解を深める体験型ワークショップ「防災アドベンチャー」や防災パンフレット作りに取り組む。
代表の東北医科薬科大5年浦尾樹正(みきまさ)さんは「災害医療を学び、能登半島地震の被災地支援を経験し、自助・共助の大切さを痛感しました」と説明する。日常と防災に線を引かずに、正しい防災の知識を学べるような活動を目指している。
今回、ブース展示では作製した3種類のパンフレット「応急処置」「災害時の食事」「避難所」を紹介。止血やけがをした足の固定の仕方なども実践する。発表では、活動報告に加え、過ごしやすい避難所について来場者と意見交換する予定だ。
「防災への敷居を低くして、楽しんでもらいたい」と工夫を重ねる。同大4年鈴木結子さんは「私たち自身も吸収の場。他団体や来場者の考えを学び、自助・共助の形を共に模索していきたい」と目を輝かせた。


[東北福祉大]令和6年能登半島地震での学生ボランティア活動報告(ブース展示)

東北福祉大の有志学生22人は2024年5~9月、4班に分かれて能登半島地震の被災地でボランティア活動に取り組んだ。5、7月は石川県志賀町で被災家屋の家具などの運び出しや災害ごみの分別作業を手伝った。8、9月は同県穴水町などで子どもたちや障害がある人たちと交流し、心のケアに当たった。
産業福祉マネジメント学科3年古川心路(ルビ・こころ)さんは、9月に穴水町の地域活動支援センターで秋祭りを企画。シャボン玉や北欧発祥のモルックなどで交流し、被災者の心をほぐした。古川さんは楽しく体を動かしてもらおうと、ボディーパーカッションを提案したという。
精神障害に苦しむ人たちから被災状況を聞く機会も得た。古川さんは「薬がなくなる不安などを抱えた中、懸命に前に進むリアルな話を聞くことができました」と振り返る。
古川さんが支援に訪れた際、能登半島は記録的な豪雨に見舞われ、冠水する被災地を目の当たりにした。「東日本大震災の記憶も薄れてきています。災害はいつ起きるか分かりません。備える大切さを訴えていきたいです」と力強く語った。


[学生SBL(学生仙台市地域防災リーダー)]活動紹介・せんだい災害VR体験(ブース展示)

仙台市が2021年度に養成を開始した「学生SBL」。若者の視点を生かし、地域などと連携して防災訓練や啓発活動を行う。これまでに東北工大や東北福祉大、東北文化学園大などの47人が養成講習会を受講した。
東北工大4年早坂至恩(しおん)さんは、学生SBL創設時から活動に取り組む。多賀城高災害科学科で学び、「今度は防災について、自分から啓発や発信をしたい」と考えたという。
大学祭では、非常食の試食会や防災用品の紹介を企画し、1人暮らしの学生に向けた啓発に力を入れた。地域の町内会と連携し、幅広い世代の防災意識の向上に貢献している。
フォーラムでは、地震や津波などの災害を仮想現実(VR)で疑似体験できる「せんだい災害VR体験」を用意。災害の恐ろしさを再認識してもらい、家庭での災害に対する備えやハザードマップの確認などを呼びかける予定だ。
早坂さんは「若い世代が地域で防災活動に取り組んでいることを広く知ってほしい。学生が地域や学校とのつながりを深めるきっかけにしたいです」と意欲的だ。


(河北ウイークリーせんだい2025年2月27日号掲載)
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