閉じる

<記憶の素描(41)芥川賞作家・石沢麻依>嘘の色合い

 大学病院前の停留所から路面電車に乗ると、雲の塊のようなものが視界に飛び込んできた。薄く灰色を帯び、滑らかな光沢をまとう白。柔らかなそれに震えが走り、白いボルゾイ犬に形を変える。そのまま犬は優雅な姿勢…

関連リンク