初売り茶箱も一工夫 「伝統残したい」事前予約に 井ヶ田グループ

七福神の絵柄を付けた茶箱を確認する今野会長
1973年の初売り時の一番町本店。店内には景品の茶箱や座布団が積み上げられている(お茶の井ケ田提供)

 新年恒例の仙台初売りが来月2日に始まる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費マインドが冷え込む中、各商店などが伝統の商習慣を守ろうと腐心する。今年創業100年を迎えた茶製造販売「井ケ田製茶」(仙台市)を含む井ケ田グループもその一つ。例年通り豪華景品入りの茶箱を用意し、事前予約といった感染対策を施して客を迎える。

 今月下旬、きれいに仕上がった茶箱が青葉区大町の本社に届いた。側面に貼られた七福神の絵柄には「創業100周年」の文字。茶の小売り卸「お茶の井ケ田」の今野克二会長(67)は「茶箱がある仙台初売りの風景を残していかないといけない」と気を引き締めた。
 井ケ田製茶は1920年創業。35年の初売りで茶葉を輸送するための茶箱を景品とし、衣類収納用として重宝がられた。その後、家庭用品や電化製品を茶葉と詰め合わせると、利益度外視の景品や茶箱の珍しさが話題となり、初売りの定番品となった。
 内側にトタンを張る技術を要する茶箱は職人の手作りだ。業務用の茶箱は段ボール箱になったため、仕入れ先の静岡県で職人不足に陥った。今野会長は初売り用の茶箱を確保するため、現地を訪れて作り方を動画で撮影。宮城県内の業者に依頼し、2年前に地元でも生産できる態勢を整えた。
 大盤振る舞いが名物の仙台初売りは藩制時代に始まり、過度な景品配布を規制する景品表示法の特例を受ける。今野会長は「仙台藩は商人を育てるため買い初めを重視したのではないか。われわれには伝統をつなぐ責任がある」と語る。
 今年は4、5月の緊急事態宣言下、同社が運営する約50店のうち6割が休業した。土産需要が落ち込み、月の売り上げは最大で前年から半減。一方、外出自粛に伴う巣ごもり需要から自宅で煎茶を飲む習慣が広がり、茶葉関連は堅調に推移したという。
 今回、初売りの福袋は人気の抹茶アイスクリームの引換券を増やし、約2万袋を用意する。井ケ田健一社長(39)は「日頃の感謝を込め、売れ筋のお茶をたくさん福袋に入れた。通信販売や事前予約を含め、前年を上回る売り上げを目指したい」と意気込む。
 感染拡大防止のため、お茶の井ケ田一番町本店(青葉区)での鏡開きや餅つき、お茶の振る舞いを取りやめる。同店の茶箱付き先着賞(100個)は事前予約制とし、既に締め切った。今野会長は人出は例年の半分と想定し、「寂しいが仕方がない。人でごった返す風景が戻ってほしい」と願う。

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