デスク日誌(1/27):海岸林再生

 久しぶりに熱い男と再会した。東日本大震災の津波被害を受けた名取市沿岸部で、海岸林再生プロジェクトに取り組む公益財団法人オイスカ(東京)の吉田俊通担当部長。震災発生から6日後に、防災機能を持つ海岸林を再造林したいと林野庁に申し入れた人物だ。
 その行動力には目を見張らされる。国内外に寄付を呼び掛け、被災した地元の農業者らが仕事として、ふるさとの復興に取り組める仕組みをつくった。種からクロマツの苗木を育て、昨年秋には市の沿岸部約100ヘクタールの植林を終えた。
 植林を始めた2014年ごろ、吉田さんには取材で何度もお世話になった。活動を記録する本がこのほど出版され、届けてくれた。
 高さ30センチほどしかなかったクロマツは今、4メートルを超えている。荒野だった植栽地は緑に覆われ、350種類を超す草木や昆虫、鳥の生息が確認されたという。
 間もなく震災から10年。さぞ万感の思いがあるだろうと尋ねたが、意外にも「まだ何の感慨もない」と言う。これから間伐を始め、海岸林が命を守る森になるのは50年先。熱い思いを胸に秘め、吉田さんは次を見据えていた。(生活文化部次長 足立裕子)

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