別学の伝統・校風 未来につなぐ 宮城県立高共学化10年 SNSアンケート

 宮城県の全ての県立高が2010年度に共学となって、10年が経過した。男子校または女子校から共学化した全11校の在校生と、共学化後に入学・卒業したOBOGは、どんな学校生活を送ったのだろうか。インターネット上でアンケートを実施すると、別学時代の伝統や校風を強く感じながらも、おおむね満足のいく日々を過ごしていることが分かった。
(生活文化部・越中谷郁子)

 調査は昨年12月28日~1月12日に行い、327人から有効回答を得た。共学の学校生活に「満足」した人は全体の59・3%で、「まあまあ」と答えた人を合わせると、9割に上った。ただ、旧男子校と旧女子校別に見ると、旧男子校で「満足」した人は79・6%だったが、旧女子校では40%にとどまった。

 別学時代の伝統や校風を感じたことがある人は85%。多くが体育祭などの行事を挙げた。旧男子校では「運動祭の格闘要素が強い」(仙台一・13年卒女性)「運動会のマスゲーム(組み体操)に衝撃を受けた」(仙台二・15年卒女性)。入学直後の厳しい応援団指導を挙げる人も。「水泳の授業が男子のみで、水着は赤パン」(仙台一・19年卒男性)という声もあった。

 旧女子校では「創作ミュージカルを競う歌合戦」(宮城一・12年卒男性)「体育祭の綱引きのため体重を増やす子がいた。『体の三女』」(仙台三桜・15年卒女性)「校歌が『やまとおみな』で始まる」(仙台二華・20年卒女性)などの伝統が受け継がれ、「男子が少なく男子トイレを使った」(仙台二華・13年卒女性)という。

 一方、20・2%が「困った事やデメリットがあった」と答えた。「体育館が割り当てられず女子の運動部をつくれなかった」(仙台一・14年卒女性)「女子トイレが少ない」(仙台二・2年女性)「男子の肩身が狭く、溶け込めなかった」(宮城一・11年卒男性)など、少数派ならではの苦労があったことがうかがえた。

 宮城一高・共学一期生(11年卒)の男性(27)は体育祭のクラス対抗リレーが印象に残っている。「共学クラスのチームは男子2人までという制限付きで出場して優勝したが、後ろめたかった。女子クラスから文句を言われたが、男子が少なくて男女別にもできなかった。誰も満足できないルール設定だった」

 男子が少なく女子クラスと共学クラスがある仙台二華や仙台三桜では「共学クラスになると、ショックで泣く女子がいた」という声が複数寄せられた。

 22年度には私立東北学院高が共学化し、県内から男子校が消える。改めて共学化に対する考えを問うと、時代の流れやジェンダーフリーの観点から賛成とする意見が多数を占めたが、「共学と別学それぞれに良さがある。両方あってもいい」という人もいた。

 仙台一高・17年卒の女性(22)は「伝統に固執せず、そこにいる生徒が男女関係なくどう成長するかという点を重要視してほしい」と記した。

旧女子校、男女比に偏り 研究者「県は不利益ない環境整備を」

 旧男子校、旧女子校から共学化した11校の男女割合の推移はグラフの通り。旧男子校は仙台三を除き女子が40%を超え、石巻高は13年度以降、男子を上回った年度もある。旧女子校の男子は30%台にとどまり、宮城一は19.0%、仙台三桜は10.5%と低い。

 宮城県立高将来構想審議会の副会長として、2010~14年に共学化の検証を行った東北大大学院の柴山直教授(62)は「別学の長い歴史を踏まえれば、男女比率が必ずしも均等になる必要はない」と話す。その上で、「旧女子校は敷地が狭く部活動が制限され、男子が敬遠するという声は当時からあった。男女とも不利益がない環境整備は、県が責任を持って進めるべきだ」と指摘する。

 宮城一高は昨年、グラウンドが新設され、23年度には新校舎が完成する。「その後の男子の動向を注視したい。増えなければ『女子の中に男子は入りづらい』といった心理的要因などが関係するのかもしれない」と推測する。

 激しい論争の末に共学化して10年。反対派だったOBOGの中には、孫が共学校に楽しそうに通う様子を見て、考え方が変わった人もいるという。

 柴山教授は「日本はジェンダーギャップ(男女格差)が大きく、153カ国中121位と圧倒的に下位。男女に能力差はないということを、思春期の大事な時期に学校生活を通じて学ぶことが必須だ」と強調した。

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 河北新報オンラインニュースで配信中。QRコードでアクセスできます。アンケートには男性99人、女性228人が回答。11校の内訳は、旧男子校の仙台一121、仙台二32、仙台三35、古川4、石巻4、石巻商1と、旧女子校の宮城一49、仙台二華45、仙台三桜23、古川黎明5、石巻好文館8。

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