鳴子の風力発電「ガンの渡りに影響」 大崎の市民団体、事業中止求める

東北大川渡フィールドセンター上空を北西方向へ向かうマガンの群れ=2020年2月20日(日本雁を保護する会提供)

 宮城県大崎市の市民団体「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」(小林休、曽根義猛共同代表)は、同市鳴子温泉に計画中の「六角牧場風力発電事業」の中止を求める意見書を、事業者の川渡風力発電(札幌市)に送付した。
 意見書は8日付。提出には、県内で長年活動を続ける環境保護団体「日本雁(がん)を保護する会」(宮城県栗原市)と「NPO法人たんぼ」(同県大崎市)も加わった。観光地鳴子の景観が変わる可能性に加え、計画地がガン類の渡りのルートに当たり、重大な影響を及ぼすと懸念を表明。世界農業遺産に認定された大崎耕土の地域づくりにも反すると問題点を挙げた。
 日本雁を保護する会はラムサール条約登録湿地の蕪栗沼(大崎市)、伊豆沼・内沼(栗原市、登米市)などでガン類の研究を50年以上続けている。意見書は江合川から六角牧場、栗駒山を経て、秋田県につながるルートはガン類の渡りの経路の一つと強調した。
 呉地正行会長は「マガンに加え、希少性の高いオオヒシクイ、シジュウカラガンの経路上に風力発電ができると、風車に鳥が衝突するバードストライクや移動放棄などの致命的な影響が予測される」と危惧する。
 NPOたんぼは、蕪栗沼周辺の田んぼに冬期間水を張ってガン類のねぐらを確保し、自然と共生する農業に取り組む。舩橋玲二理事長は「大崎耕土では環境を大事にした地域づくりを進めている。風力発電は生き物への負荷が大きい」と指摘する。
 考える会の小林共同代表は「2団体の協力で多様な視点を意見書に反映できた。計画の問題点を地域に周知したい」と語る。
 六角牧場風力発電は、大崎市と栗原市にまたがる東北大川渡フィールドセンター内に、高さ最大200メートルの風車を最大20基設置。最大出力は7万キロワット。現在は環境影響評価手続き中で、2023年度着工、25年度運転開始を目指す。
 川渡風力発電の担当者は「環境影響評価の手続きに従い事業を進めたい。地域のみなさんに受け入れていただけるよう、しっかり意見を聞き、説明していきたい」と話している。

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