母の最期の地に飲食店開く 大船渡の平山さん「にぎやかに過ごせる場に」

フランス料理のガレットを作る平山さん

 岩手県大船渡市大船渡町で7日、そば粉を使うフランス料理「ガレット」を提供する飲食店「アンテンヌ」がオープンした。店は東日本大震災で亡くなった、店主平山朗さん(59)の母が見つかった場所の近くで、震災10年の節目を前に開店にこぎ着けた。「運命的なものを感じる」と話す平山さんは「気軽に立ち寄れる店にしたい」と意気込む。

 ガレットは仏ブルターニュ地方の家庭料理。そば粉で作った生地を円形に広げて焼き、正方形に折り畳んで仕上げる。具材にはカキやムール貝、リンゴなど地元大船渡や周辺地域の産品をふんだんに使用する。
 震災時、平山さんは採掘・砕石会社の社員で沿岸部から離れていた。母光子さん=当時(77)=はJR大船渡駅西側の自宅周辺で津波に襲われたとみられ、震災の2カ月後に自宅跡から程近い場所で発見された。
 平山さんは仮設住宅生活などを経て2018年に妻幸子さん(52)と結婚。妻の知人の勧めで心機一転、ガレットを提供する飲食店出店に動きだした。料理経験はほとんどなかったが、昨年1月にフランスに渡り、国際的な調理学校でガレットの基本を学んだ。
 当初は昨年中の開店を目指していた。新型コロナウイルスの感染拡大で準備を見合わせたこともあり、オープンが遅れたという。
 母が最期を迎えた場所のすぐそばに店を建て、10年の命日直前の開店となったのは「全くの偶然だが、天命なのかもしれない」としみじみ語る平山さん。「ガレットは肩肘張らずに楽しむ家庭の味だとフランスで教わった。にぎやかに過ごせる店にする」と力を込めた。

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