◎海から読み解く日本古代史 近江俊秀 著
石巻市出身で文化庁文化財調査官を務める著者は東日本大震災後、自分は何ができるかを考えた。思い出したのが、高校時代に同市の五松山(ごしょうざん)洞窟遺跡の発掘現場で聞いた「寒流と暖流がぶつかる石巻は南北の文化が出合う場所」という言葉。石巻が日本の歴史に果たした役割と重要性を発信しようと思い立ち、本書をまとめた。
日本の太平洋沿岸には、漁業や製塩、航海など海に関係した仕事をする「海人」の文化が根付く。だが、陸の道と比べ、海の道には痕跡が少ない。そこで、断片的な文献史料、海や川沿いの遺跡、時代背景を丹念にたどることによって、謎に満ちた海の道の古代史を解き明かそうと試みた。
それによると、縄文時代には貝で作った腕輪が太平洋を北上。弥生時代には稲作文化が西日本から日本海を通って津軽海峡を越え、南下した。
古墳時代には関東や北海道から人が移住した可能性が高い。出土した土器から、同じ集落でそれぞれの文化を保持し続けていたことが分かり、多様性を認める社会があったとみられるという。天然の良港であるラグーン(潟湖)があった石巻は太平洋航路を利用した南北交流の結節点だった。
6世紀、倭(やまと)王権は海人集団との接触を機に東北へ進出。奈良時代に国家と蝦夷との戦争が本格化すると、海の道は軍事目的で使われた。律令(りつりょう)制の導入は国民を結束させる一方で、分断を生んだ。「現代社会を考える上でも示唆的」と著者は言う。
太平洋航路がこれまで注目されてこなかったのは、歴史学者に大陸との交流ができる日本海航路の方が優位だという思い込みがあったと指摘する。海からの新たな視点を提示した本書は、歴史研究に一石を投じたといえよう。(裕)
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