社説(4/28):入管難民法改正案/人権に配慮し抜本的修正を

 入管難民法改正案が衆院で審議されている。国外退去命令を拒む外国人が入管施設に長期間収容されている状況を解消するのが主眼だが、難民申請の回数を制限するほか、収容期間の上限を定めないなど、人権上の問題点は残されたままだ。国内外から閉鎖的と批判されてきた日本の難民認定制度をはじめ、抜本的な修正が必要だ。

 不法滞在が発覚した外国人の大半は自ら出国している。一方で、退去処分を受けながらも送還を拒んでいる人は約3000人おり、一部は長期間収容されている。多くは祖国に帰れば迫害される恐れがあったり、日本で家族と暮らしていたりといった事情を抱える。難民申請中や裁判で係争中の人もいる。

 改正案では、難民申請による送還停止を2回に制限し、3回目以降は送還が可能になる。これに対しては、支援者だけでなく国際機関も、難民条約に違反し、本来保護されるべき難民が救われなくなるとして反対している。

 政府は、帰国を免れる目的で申請が繰り返されていると主張する。だが、そこには、世界的に見て厳しい難民認定がある。2019年に難民申請した約1万人のうち、認定されたのは44人にすぎず、認定率は0・4%にとどまる。3回目以降の申請者を送還させるよりも前に、難民認定の基準を諸外国並みにするのが先だろう。

 収容期間に関しては、日弁連などが上限を設けるべきだとしており、司法による審査を認めないのも人権の制約だと指摘する。

 新設される「監理措置」も実効性に疑問符が付く。「監理人」の下で生活することで逃亡が防ぎやすくなるとの考えで、措置の対象は難民申請中や訴訟中の人らが想定される。

 審査は入管が個別に行うが、判断基準は現時点では明確ではない。退去処分を受けると就労できず、健康保険や生活保護の資格もない。監理人は就労などの違反があった際に通報の義務を負うため、支援する立場の団体や親族、弁護士らがなるのには無理がある。

 そもそも、外国人の管理・摘発と、保護・支援を扱う部門が同じ役所にあることにはおのずから限界がある。

 野党が参院に提出している対案では、難民認定を担う独立機関の新設のほか、収容の可否を裁判所が判断するようにし、期間の上限を定めることなどが柱になっている。

 長年日本で暮らしながらも、在留許可がないために、働くことも病院に行くこともできない人がいる。在留資格がないからといって一律に排除するのではなく、個別の事情に応じて救済し、社会で受け入れ、少子高齢化による労働力不足にも対処する。そうした視点にも立った上で、組織の見直しにも踏み込んだ審議をすべきだろう。

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