津波被災地の宅地利用促進 いわき市が新たな補助制度

新たに整備された宅地には空き地が目立つ=いわき市平薄磯地区

 福島県いわき市は、東日本大震災の津波で被災した沿岸部の宅地利用を促進しようと、新たな補助制度を創設した。震災後に整備された宅地には空き地が目立ち、地域コミュニティーの再生にも影を落とす。市は新制度をてこに、子育て世代や市外から移住世帯を呼び込みたい考えだ。
 同市では、沿岸部の5地区で震災復興土地区画整理事業を実施し、2019年3月に全事業が完了した。20年4月には「空き地バンク」を設立。未利用地を登録し、市のホームページなどで公開してきたが、活用は進んでいない。
 今年3月末現在の5地区の宅地の利用状況は表の通り。全838区画のうち、利用されているのは499区画。4割に当たる339区画が空き地のままだ。面積に換算すると計約17万平方メートルに上る。
 市の担当者は、震災から10年が経過し、地域を離れた地権者の生活基盤が別の場所で確立したため、当初の希望状況と乖離(かいり)が生じていると分析。「新型コロナウイルスの影響で住宅投資に慎重さが出ている」とも話した。
 薄磯地区の世帯数は209(4月1日現在)で震災前から3割減った。区長の鈴木幸長さん(68)は「土地の所有者にはそれぞれの気持ちや考えがあり、手放さない人もいる。以前のような地区のつながりになるには時間がかかりそうだ」と語り、コミュニティーの維持に心を砕く。
 新たな制度では、空き地バンクに登録した土地を取得し、住宅を新築した人を対象に30万円を補助する。子育て世代には10万円、市外からの移住世帯には10万円を上乗せする。
 空き地バンクに登録した土地の所有者には、売買契約が成立した際に仲介業者に支払う手数料を最大で5万円を支援。売買を仲介した業者にも奨励金として5万円を支払う。
 6日に募集を開始する。清水敏男市長は「元の住民以外の人にも住んでもらうことで、コミュニティーの再生、復興の先を見据えた街づくりを推進したい」と述べた。

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