レア酒米「ひより」の大吟醸、4年連続で金賞

「平塚さんが開発した品種を大切に育てたい」と語る岩崎さん=大崎市
ひよりを使った酒を手に「良い酒を仕込んでもらった」と喜ぶ平塚さん=岩沼市

 宮城県大崎市の寒梅酒造が、同県岩沼市の農家で開発された珍しい酒造好適米「ひより」を使って日本酒を仕込み、全国新酒鑑評会に出品する取り組みを続けている。5月の鑑評会で4年連続6回目の金賞を受賞した。「酒米の王様」と呼ばれる品種、山田錦による酒が幅を利かせる中で異彩を放つ。

 出品酒は主にひよりを使った純米大吟醸。米こうじには酒米の一種、美山錦を加えた。米は全て同社が所有する水田で栽培した。会長の岩崎隆聡(たかとし)さん(62)は「ふくよかな香りがあり、口に含むとすっきりした甘さがある」と特徴を説明する。

 岩崎さんは、ひよりを開発した岩沼市の農業平塚静隆さん(65)と出会い、2005年から栽培と醸造に挑んだ。「最初は興味本位だったが、兵庫が本場の山田錦よりも栽培しやすかった。重過ぎず、味わいの奇麗な酒を仕込むことができた」と語る。

 鑑評会では08年に初めて金賞を獲得。17年以降、新型コロナウイルスの影響で金賞を決められなかった昨年を除き、4回連続で金賞になっている。

 宮城県酒造組合などによると、県内で今年、金賞を受賞した八つの酒蔵のうち山田錦以外の米を使ったのは寒梅酒造だけだった。個人の農家が開発した品種を自社栽培し、金賞を受賞するのは全国的にも珍しいという。

 寒梅酒造の酒蔵は東日本大震災で損壊した後、2011年末に冷蔵設備を拡充し、再建された。平塚さんは岩沼市の自宅や水田が津波で浸水し、今でも災害公営住宅で暮らす傍ら、新たな品種開発に取り組んでいる。

 平塚さんは「宮城でも山田錦に負けない米を作りたいとの思いで開発した品種。震災を乗り越え、ひよりを使い続ける岩崎さんらに感謝したい」と話す。

ひより ササシグレと山田錦を交配させた品種。平塚さんが1990年から9年かけて開発し、2002年に品種登録した。前向きに生きる女性を連想して名付けた。寒梅酒造がひよりで仕込んだ酒の商品名は「醇麗純香(じゅんれいじゅんか)」。

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