「アイガモロボ」有機農法後押し 17都府県で実験中

田植えから3週間が経過した水田を動き回る「アイガモロボ」。アイガモも一緒に泳いでいる=2日、宮城県加美町

 宮城県など全国の水田で、雑草の成長を抑える「アイガモロボ」の実証実験が進められている。開発したのは仙台市出身の中村哲也さん(47)。農作業の軽減を図り、有機米の生産を後押しする。稼働条件などを見極めた上で数年後の商品化を目指す。

 実験を手掛けるのは有機米の生産を支援する「有機米デザイン」(東京)。鶴岡市のまちづくり会社「ヤマガタデザイン」の関連会社として2019年11月に設立された。中村さんはデザイン社の取締役を務めている。

 ロボは縦135センチ、横90センチ、高さ23センチで重さ約12キロ。水田を自動で進み、田植え後4週間の初期除草に貢献する。本体のらせん型スクリューで泥を巻き上げて水を濁らせ、雑草の光合成を妨げて成長を抑える。

 衛星利用測位システム(GPS)を搭載し、スマートフォンのアプリで簡単に経路設定できるよう工夫した。太陽光発電パネルから充電して動く。

 実験に水田を提供した宮城県加美町の男性(73)はアイガモ農法を25年間続けている。アイガモだと逃げないようネットで囲んだ上、キツネやカラスの襲撃を防ぐ必要があるという。男性は「ロボで苗が傷つかないか心配だったが大丈夫だった。特にヒエなどの雑草防止に効果的だ」と評価した。

 有機米は通常の農法に比べて収量は落ちるが売価は高い。半面雑草が生えやすく、除草の手間がかかる。担い手の高齢化が進み、省力化が課題となっていた。

 中村さんは日産自動車の技術者として働いていた13年、友人の依頼で開発に着手した。「農業従事者は年5%減っており、10年後が不安。有機米を広げて競争力を増し、稲作を維持できるよう支援する」と話す。

 ロボの実証実験は20年に本格化し、水田の広さや気象、土質など多様な条件下で除草効果を発揮できるかを確認している。強い向かい風で進めないケースもあり、風を横に受けて進む方法を試すなど稼働に適した条件を探る研究も続く。

 現在は17都府県で75台が実験中。東北では宮城、山形、福島各県などで計30台が動いている。

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