宮城ワイン おいしく熟成中 ワイナリー続々誕生

 日本のあちこちで造られるようになったワイン。宮城県にもワイナリーが相次いで誕生しています。自分たちが育てたブドウでワインを醸造し、地域に産業を興す―。高い志を抱く生産者がきょうも汗を流します。宮城発の「日本ワイン」、おいしく熟成中です。
(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

年々品質が向上し、ファンも増えている「日本ワイン」=9日正午ごろ、宮城県南三陸町の南三陸ワイナリー

 第7次ワインブームに沸く日本。近年は国産ブドウだけを使い、国内で醸造された「日本ワイン」の人気が高まっています。

 宮城には2021年1月現在、日本ワインを造るワイナリーが6カ所あり、うち5社が原料のブドウを自社栽培しています。このほか7カ所で、自社栽培を目指すワイナリーの設立が準備されています。

 2018年に施行されたいわゆる「ワイン法」で日本ワインが名乗れるようになりました。一定の条件を満たせばブドウの産地や品種、収穫年も表示でき、日本ワインの差別化やブランド化が進んでいます。

 了美(りょうみ)ヴィンヤード&ワイナリー(大和町)の専務早坂勇人さん(38)はワイナリーに隣接する3・3ヘクタールの畑でブドウを栽培しています。「そこで取れたブドウがその年、その土地の味のワインになる」が持論です。

 仙台平野が広がる宮城はブドウ栽培に適した条件にぴたりと当てはまるわけではありませんが、100万都市仙台を中心にワインの愛飲家はたくさんいるようです。2018年度、宮城の果実酒の1人当たり販売数量は全国10位でした。

 南三陸ワイナリー(南三陸町)の社長佐々木道彦さん(48)は「全国的に見てもワイン好きが多い地域。売れる土壌はある」ととらえています。

新緑の季節を迎え、芽吹いてきたブドウの木=2021年5月11日、宮城県大和町

 畑の規模拡大、苗木や果実の確保、醸造設備の導入とワインを造るにはいくつものハードルがあります。国は2002年に醸造免許の要件を緩和した「ワイン特区」を設けましたが、宮城で認可を受ける自治体はありません。

 「事業化するにはある程度の収穫量が必要。資金調達に苦労しても、大きな機械を取り入れて手広く始めた方が将来的には利益を上げやすい」と南三陸の佐々木さんは説明します。

 宮城のワイナリーの草分けで、新規醸造家の育成を支援する秋保ワイナリー(仙台市太白区)の代表毛利親房さん(53)は「宮城は、自分たちのワインを造りたいと熱意を持って始めた作り手ばかり」と目を細めます。その上で、作業の効率化や品質向上を念頭に「タッグの輪を東北に広げてワイナリー文化を盛り上げたい」と将来を見据えます。

 意欲的な担い手が集まる宮城。ワイナリーのブドウ収穫量は少しずつ増えています。「宮城県○○市(町)産ブドウ」と記載されたおいしいワインがもうすぐ味わえそうです。

■宮城県内のワイナリー(仙台国税庁まとめ)
秋保ワイナリー(仙台市太白区)2015年開業
了美(りょうみ)ヴィンヤード&ワイナリー(大和町)2016年開業
ファットリア・アル・フィオーレ(川崎町)2018年開業
大﨑ワイナリー(大崎市)2019年開業
南三陸ワイナリー(南三陸町)2020年開業
山元いちごワイナリー(山元町)2016年開業
※イチゴ、県外産ブドウを原料に醸造

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