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保育士、休憩も取れず 1時間のはずが「15分で昼食」

 「1時間のはずの休憩が15分しかありません。残りの時間は園児を見守ったり、掃除したりしています…」。福岡市の西日本新聞「あなたの特命取材班」に、女性保育士から投稿が寄せられた。取材班には「保育所は休憩が無い職場だ」との同様の投稿が相次いでいる。休憩が取れなければ、労働基準法違反の可能性がある。人手不足と言われる保育現場は、労働者としての権利が二の次となり、保育士の使命感に依存する課題が残っている。

 「園児とは別の部屋で過ごすことも、もちろん休憩時間に外出することもできません」。投稿を寄せた福岡県内の保育士は、現状をこう説明する。

 契約書には「実働8時間勤務」(週40時間)と記載。実際の勤務表では「午前8時半~午後5時半」などと拘束時間は9時間で、1時間の「休憩」があることになっている。8時間分の給与しか出ていない。

 「昼食は15分ぐらいで終える。残りの時間は、昼寝している子どもたちの見守りをしながら清掃している」と保育士。ほかの保育士と会話するところを上司に見られ、「仕事をしてください。そうやって仕事をしないなら、給料を引かせてもらう」と言われたことがあると明かす。

 労基法に抵触しないのか。福岡労働局に聞いた。

 「労基法34条では、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を少しでも超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定めている」との説明だった。

 清掃などで労働から解放されていなければ、当然休憩時間には該当しない。労働局は「労働基準監督署が調査し、休憩時間が与えられていなければ労基法違反となり、是正勧告の対象となる可能性がある」としている。

「給食 流し込むように」「トイレにも行けない」

 西日本新聞のウェブサイト「me」にある「あなたの特命取材班」コーナーで、今回の事例の一部を紹介したところ、同様の訴えが相次いでいる。

 「私の園では、子どもたちと一緒に給食を食べるので、ほぼ流し込むようです」とある投稿者。昼寝の間も、5分置きの呼吸チェック、保護者との連絡帳と日誌の記入、工作の準備などと仕事は続き「まともにトイレにも行けません」。残った仕事は家に持ち帰り、わが子が寝た後に行う「サービス残業」。「正社員ですが、これで基本給15万円です」と嘆く。

 別の投稿者は「私の職場は5分で食べます。それも、午後3時近くになる。泣いてる子を抱っこしながら、オニギリ1個食べるという状態だ」という。一方で「娘も東京で保育士をしているが『それはブラック(職場)だ。昼食は子どもと離れて、きちんと1時間取れる』と言っている」としており、勤務先によって差もあるようだ。

 「保育士やめて3年、今は事務職」という別の投稿者は、現在の仕事との違いを指摘する。「(今の)事務職は時間に余裕がある上、時給も200円くらい高い。保育士に、復帰することはできるかしら」と書き込んだ。

 保育士不足が深刻になる中、国は低賃金が一因とみて給与引き上げなどの対策を取っている。それでも仕事の環境は見直されていない状況があるようだ。

 福岡県保育協会は「人手不足の中で、休み時間が取れない実情を聞くことがある。雑用を減らすなどの働き方改革を現場で進める一方で、待遇改善できるよう国や県に要望していくしかない」と話す。

 同様の問題は保育所に限らず、学校や福祉施設などでもある、という投稿も寄せられている。
(西日本新聞提供)

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