河北春秋(7/9):「地域に襲い来る共通の敵」。防災に詳しい…

 「地域に襲い来る共通の敵」。防災に詳しい東京大特任教授の片田敏孝さんが自然災害をこう表現している。防災は行政に頼り切るものではなく、むろん住民だけの問題でもない。災害は行政と住民の共通の敵▼片田さんは近著『人に寄り添う防災』で、災害に関して行政に頼りがちな意識が住民にあるのを心配している。そうした現実の克服が最大の課題だと指摘している。言うまでもなく自然災害は住民と行政が一体となって立ち向かう対象だ▼静岡県熱海市の土石流は、予測困難で不幸な事態だった。発生まで避難指示を出せなかった市の対応を非難するのは、当を得ないかもしれない。これとは別に、気になるのは避難指示が出た周辺の自治体で避難した人がわずかだったこと▼土石流発生の前日の時点で、同県伊東市や東伊豆町は全域に避難指示を発令した。しかし、避難所に行った人は伊東市が8人、東伊豆町4人。災害発生の危険があっても住民が逃げない、以前から指摘されてきた問題がまたあらわになった▼片田さんの著書に広島県の事例が出ている。「あなたの避難が、みんなの命を救う」。そんな呼び掛けを県がしているという。周囲に誘発されて避難する人が多い現実を踏まえてだ。中国地方は大雨。早めの安全な避難を願う。(2021・7・9)

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