「大型選挙で暇なんて」市議も困惑 仙台市長選、静かに後半戦入り

有権者と肘を合わせ、支持を呼び掛ける郡候補=23日、仙台市泉区
街頭で手を振り、浸透を図る加納候補=25日、仙台市宮城野区

 仙台市長選(8月1日投開票)は後半戦に入った。再選に向けて与野党が事実上相乗りで支援する現職に、組織を持たない新人が挑む構図に加え、新型コロナウイルス下の自粛ムードと東京五輪が重なり、有権者の選挙熱は高まらない。異例ずくめの静かな夏の戦いを追った。
(報道部・高木大毅、古賀佑美、布施谷吉一)

低投票率を危惧

 告示から6日目、ようやく封印を解いた。

 「今回は感染しない、させないことを一番に運動している。(有権者に)集まってもらったのは初めて」

 郡和子候補は23日夕、泉区向陽台の住宅街でマイクを握った。初日の第一声以来の街頭演説。約20人に真っ先に訴えたのは公約ではなく、感染拡大防止を徹底する運動方針だった。

 「感染状況と日々にらめっこ」と陣営関係者。アナウンサー出身の知名度を生かし、街頭演説を重ねて支持を広げる過去の戦術は影を潜めた。平日はコロナ対応など公務を最優先し、選挙カーにも乗らなかった。

 演説を聞いていた男性支持者は念のため周囲に確かめた。「(選挙は)昨日から始まったんだっけ?」

 コロナ下で行われる、市内で初めての大型選挙。低投票率が危惧され、五輪開幕や連日の猛暑が拍車を掛ける。「勝ったとしても投票率があまりに低ければ求心力に関わる」。陣営幹部は危機感を口にする。

 人を集められない、握手もできない…。陣営は無い無い尽くしの選挙戦を補うべく重厚な布陣を整えた。

 衆院議員時代から支援する旧民主党系議員や連合宮城に加え、前回2017年は対立候補を推した自民、公明両党会派の過半数を含む超党派市議35人の「有志の会」、前回選で対立した奥山恵美子前市長の選対幹部らが陣営を支える。

 異色の陣立てでコロナ下の選挙を乗り切る戦略。ただ、前半戦は自粛モードにかじを切りすぎたのか、実際はやや持て余している。

 国政時代に秘書を務めた市議たちが実務を担い、連合宮城に依頼する活動がほとんどない。個人演説会を開く予定もなく、仕切るはずの市議は出番がない。

 「大型選挙でこんなに暇なんて…」。百戦錬磨のベテラン市議は困惑する。共産党県委員会の幹部は「有権者への地道な宣伝行動が必要だ」と苦言を呈する。

 郡氏は25日、青葉区のアエル前など数カ所で声をからした。新規感染者が前週を下回ったこともあり街頭演説を徐々に増やす。「低投票率で得票が少ないのはまずい」と郡氏。戦術を切り替え、後半戦は平日も公務の合間にマイクを握る。

 

保守の受け皿に

 「無投票を阻止し、民主主義を守る」。加納三代候補は25日、市中心部の繁華街で支持を訴えた。告示後は郊外のスーパー前などを主戦場とし、街頭演説を重ねた。子育て世代に「宿題はいらない」と公約の教育政策を熱っぽく語った。

 東日本大震災後の12年衆院選宮城5区に自民公認で立候補し、比例東北で初当選した。「政治への怒りが見える状況はコロナ下の今と重なる」と感じる。

 自民市議の多くが郡氏支援に回る状況を疑問視。「党員から不満の声が上がっており、保守層の受け皿になる」と浸透を目指す。

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