「不毛の地」日本で新種次々 かつての姿、化石から引き出す <連載・大恐竜展(上)>

前期白亜紀の福井を再現したジオラマ。フクイラプトル(左)やフクイティタン(右)の姿がある=福井県立恐竜博物館

 「ジュラシック大恐竜展 アメリカからやってきた恐竜たち」(河北新報社、東北歴史博物館、東日本放送主催)が、多賀城市の東北歴史博物館で開かれている。恐竜といえば北米大陸の大型恐竜が有名だが、近年は日本でも新種の化石が発掘され、「不毛の地」のイメージが変わりつつある。太古の陸や海で隆盛を誇った日本の恐竜と魚竜にスポットを当て、研究の一端を紹介する。
(生活文化部・長門紀穂子)

福井から続々と

 1980年代後半、日本の恐竜研究を格段に飛躍させる大発見があった。福井県勝山市にある約1億2000万年前の地層「北谷層」で、肉食恐竜の頭骨の一部と手足が発掘された。2000年、日本初の新種恐竜「フクイラプトル」として認められた。

 その後も植物食恐竜のフクイサウルス(03年)、フクイティタン(10年)などが次々と報告された。現在、日本で見つかった新種恐竜9種のうち5種が「福井産」で、福井県は国内における化石発掘の中心地となった。

 「化石から情報をいかに多く引き出すかが、研究の腕の見せどころ」。福井県立恐竜博物館の研究職員で植物食恐竜「竜脚形類」が専門の関谷透さん(40)は、そう語る。フクイティタンを研究材料に近縁の中国やタイの恐竜を参考にして、脚部の復元に取り組む。足跡の化石から歩行の様子や指の形状を割り出す研究も進めている。

 2000年代以降、科学技術を活用した研究手法が発達した。CTを使用した脳の発達部位の調査や、鳥の胚から恐竜に共通する特徴を探す研究も始まっている。

比較研究が盛んに

 近種で生息域が異なる恐竜同士の比較研究も盛んになった。約6600万年前に北米で生息したティラノサウルスの系統をたどると、中国の約1億2000万年前の地層で発見された羽毛のある小型の恐竜につながるという。

 関谷さんは「ティラノサウルスと同時期、モンゴルには近種のタルボサウルスがいた。数千万年の時を経てアジアや北米へと広がったと考えられる」という。

 日本で初めて恐竜の化石が確認されたのは1978年。岩手県岩泉町茂師で大型草食恐竜の上腕骨が見つかり、通称「モシリュウ」と呼ばれた。以降も各地で歯や爪、骨の一部などが見つかったが、いずれも断片的な化石にとどまり、種の特定はできなかった。

 日本は大陸と比べて地殻変動が激しく、地層から恐竜の種を特定できる化石を見つけることが困難とされた。北谷層は前期白亜紀、アジア大陸の東端にあった河川付近で堆積した地層であり、従来の考えを覆す貴重な存在だ。

 福井県では現在、第4次の発掘調査が進む。「博物館を拠点に、発掘や研究が長年継続している意義は大きい」と同館研究職員の静谷あてなさん(32)。さらなる大発見に期待がかかる。

発掘現場の様子。掘削した岩石からフクイティタンの大腿(だいたい)骨が見つかった=2007年、福井県勝山市

[メモ]「ジュラシック大恐竜展 アメリカからやってきた恐竜たち」(河北新報社、東北歴史博物館、東日本放送主催)は9月12日まで。開館時間は午前9時半から午後5時。8月28日と9月4日、11日は午後7時まで。入場料は大人1600円、小中高生800円。連絡先は博物館022(368)0106。

※連載・大恐竜展の(下)は25日午後5時30分ごろに配信します

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