◎口腔機能回復科長 服部 佳功 教授
よわいを重ねて気を付けなければならない身体の変化に「痩せ」があります。65歳を過ぎて、体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った体格指数(BMI)が21・5を下回ると、それは痩せすぎのサインです。壮年期以前はメタボリック症候群対策の一環で、BMIを18・5~25に収めることが推奨されます。しかし、多少の肥満よりも痩せの悪影響が顕著な高齢期には、持病の管理に障らない範囲で痩せを抑えることが、一層大切になるのです。
痩せは栄養の不足の表れです。原因はさまざまですが、口の機能の衰えは見逃してはならない原因の一つです。専門的には「口腔(こうくう)機能低下症」といい、口腔不潔、口腔乾燥、咬合(こうごう)力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼(そしゃく)機能低下、嚥下(えんげ)機能低下の七つの状態のうち三つ以上に該当する場合に、そう診断します。
■認知機能も衰え
口の機能の複合的な低下は、栄養摂取量を低下させたり、栄養バランスを変化させたりすることで、栄養状態に悪影響を及ぼし、筋肉の量を減らしてしまいます。一方、口の周りの筋肉の衰えは食べる機能を次第に損ない、栄養状態を一層悪化させます。この悪循環がお年寄りの健康を障害し、生活機能の衰えを加速させ、生活の質を低下させる原因となるのです。
実際、仙台市宮城野区の鶴ケ谷地区で行った調査でも、口の機能の衰えが認知機能の低下や骨折、要介護や死亡のリスクを高めることが示されています。
口の食べる機能というと、かむ、飲み込むなどの機能が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、栄養状態と関連するのは、顎や舌、頸部(けいぶ)の筋肉が営むこうした運動機能だけではありません。食べるという行動は、食べたいという動機がなくては始まりません。人が食べたいと思うのは、おいしいという喜びを期待するからです。
■おいしさ感じず
味覚や嗅覚は加齢とともに低下します。何らかの原因で唾液の分泌量が減ると、味を感じにくくなり、口に入れた食品がいつまでもぱさぱさして、以前のようにおいしく感じられなくなります。感覚や唾液分泌も食べるという行為を支える口の大切な機能であり、それらが低下すると影響は栄養状態にまで及んでしまいます。
以前に比べて硬い物が食べにくくなった、食事の時間が長くなった、むせるようになった、粉薬を飲むのが苦手になった、口の中が乾くようになった、好物がおいしくなくなったなどと感じたら、それは口腔機能低下症の表れかもしれません。せっかくの気付きの機会を逃すことなく、かかりつけの歯科医にご相談ください。
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