津波で全壊の吉田家住宅を復元 陸前高田、気仙郡の歴史伝える

 東日本大震災の津波で全壊した岩手県陸前高田市気仙町の大肝入(おおきもいり)屋敷「吉田家住宅」の母屋の復元工事が始まった。大肝入は仙台藩村方役人の最上位職で、旧藩内に残る唯一の屋敷だった。工期は約4年の見込みで、2025年5月の公開を目指す。

吉田家住宅の復元に向けた工事の安全を祈願する関係者=4日

 復元する母屋は木造2階で、屋根はかやぶき、一部和瓦ぶき。延べ床面積は約320平方メートル。1階に客人を迎える表座敷や複数の居間、台所、2階には二つの座敷を設ける。住宅を水平方向に支えていたはりや、床下の部材「大引き」などの一部建材は震災後に回収、保管されており、復元の際に活用する。

 場所は震災後に大規模にかさ上げした気仙町今泉地区で、住宅がかつてあった場所とほぼ同じ。周辺には門や庭園、駐車場を整備する。事業費は6億7500万円。市が独自に設置した復元基金や岩手県の補助金などを充てる。

 4日に現地で安全祈願祭があり、関係者約30人が参加した。市教委の山田市雄教育長は「気仙郡24村の中心だったのが吉田家住宅。気仙の歴史、文化を後世に伝え、地域の活性化につながる施設になってほしい」と願った。

 吉田家住宅は1802年の建築。2006年に住宅と土蔵、味噌(みそ)蔵、納屋の計4棟が県指定有形文化財となった。津波で4棟全てが流された。住宅以外の3棟は建材の回収率が3割以下だったため、文化財の指定が解除された。

震災前の岩手県指定有形文化財「吉田家住宅」。気仙大工の技が駆使された建物は地域の象徴でもあった(岩手県立博物館提供)
河北新報のメルマガ登録はこちら
3.11大震災

復興再興

あの日から

復興の歩み


企画特集

先頭に戻る