社説(8/29):核燃料サイクル延命/論理倒錯 「本意」はどこに

 秋に閣議決定される次期(第6次)エネルギー基本計画で、政府が原発政策の要とする核燃料サイクルは現行の内容がほぼ踏襲される。計画策定の経緯で、青森県六ケ所村での使用済み核燃料再処理を基軸とするサイクル事業を巡る議論は低調だった。

 理由の一つは、政府が事業継続の姿勢を早々に示したことだ。昨年10月、経済産業省の有識者会議が計画の検討を始めた直後、政府は青森県と原子力政策を話し合う場で「核燃料サイクルは国の基本的方針」と明言。この時点で堅持への外堀が埋まった。

 加えて、菅義偉首相が同月の所信表明演説で、2050年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを宣言した。「脱炭素」一色となった計画の検討過程で、「結論ありき」のサイクル事業は隅に追いやられた。

 「50年カーボンニュートラル」という前例のない高い目標に向かう次期計画で、各分野の内容は従来から様変わりした。原発利用に関しては新増設やリプレース(建て替え)の方針が盛り込まれず、先行きの不透明感が増した。そうした中でサイクル政策の不動ぶりは奇異にも映る。

 政策が維持されているのは、重点が「資源の有効利用」から「放射性廃棄物の処理・処分」に移りつつあることが大きい。

 原発の燃料となるウランの有効利用はサイクル事業の主目的だったが、14年策定の第4次計画以降、「ウラン」の文字が計画から消えた。代わりに次期計画では、使用済み燃料の再処理で生じるプルトニウムの有効利用を掲げる。

 再処理は、それ自体が高レベル放射性廃棄物にもなる使用済み燃料を「資源」として扱うための措置だ。プルトニウムは現状、ウランと混ぜたMOX(混合酸化物)燃料を利用するプルサーマル以外に使い道がない。

 使用済み燃料とプルトニウムを廃棄物化させないためには、とにかく再処理とプルサーマルを実施し、サイクルを回しておく必要がある。「ウラン燃料のリサイクル」の旗印を「廃棄物対策」にすげ替え、倒錯した論理で続けられているのが実情だ。

 次期計画には使用済みMOX燃料の再処理技術を、30年代後半に確立させる方針が加わる。新たな再処理工場が必要という非現実性や、プルサーマル炉の立地自治体が原発敷地内での使用済みMOX燃料の長期保管を懸念している点を踏まえると、この方針も廃棄物対策の一断面として捉えるべきだろう。

 第4次計画以降、サイクル政策は「中長期的な対応の柔軟性を持たせる」とされ、趣旨が今後さらに変わる可能性がある。サイクル事業を延命させる本意が、廃棄物の「処分」方策と処分候補地の選択肢を残すためではないかとの疑念が消えない。

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