津波で全壊、新築移転の閖上駐在所開所 宮城県警の被災施設全て復旧

 東日本大震災の津波で全壊し、名取市閖上西に移転新築した岩沼署閖上駐在所が完成し、現地で6日、開所式があった。これにより、津波で被災した宮城県警施設の復旧が全て完了した。

東日本大震災の津波で全壊し、移転新築した岩沼署閖上駐在所の開所式。津波で被災した宮城県警の27施設は全て復旧した=6日、名取市

 新たな閖上駐在所は震災前の場所から西に約600メートル移った。建物は木造平屋、広さ約110平方メートルで、総事業費は3600万円。震災後は市内の下増田駐在所を拠点に業務を続けてきたが、8月2日に新庁舎での業務を始めた。

 開所式は新型コロナウイルス対策で規模を縮小し、菅原優署長ら署員約20人が出席。震災犠牲者に黙とうをささげた後、菅原署長が「被災者の悲しみや苦労は10年たっても癒えるものではない。これまで以上に被災者に寄り添った活動をしてほしい」と訓示した。

 閖上駐在所は名取市閖上西、閖上中央、閖上東地区などを管轄する。駐在する高橋伸広巡査(26)は「地域の皆さまが安心して暮らせるよう業務に励みたい」と決意を述べた。

 岩沼署は開所式に先立ち、市内の閖上海岸で震災の行方不明者を捜索した。署員10人が約1時間、波打ち際の砂浜をレーキでかき分け、遺留品などを捜したが、見つからなかった。

 同署によると、管内の震災行方不明者は名取市で38人、岩沼市で1人。目黒昭毅警備課長は「どんな小さな物でも手掛かりを見つけたい。復興が進み、捜索できる場所が限られてきたが、今後も遺族の要望があれば捜索を行っていきたい」と話した。

行方不明者の手掛かりを捜す岩沼署員ら=6日午前8時40分ごろ、名取市の閖上海岸

一時は27施設が流失・浸水で使用不能に

 東日本大震災の津波では閖上駐在所(名取市)を含む県警の27施設が流失や浸水などで使用不能に陥り、危機管理の点で課題を残した。県警は震災を教訓に浸水の恐れのない内陸部を再建先に選び、非常用電源の確保も進めて災害に強い防犯拠点を目指す。

 気仙沼市中心部を流れる大川のそばにあった気仙沼署は床上1・5メートルの浸水があり、南三陸署も3階建ての庁舎が津波にのまれた。石巻署や河北署でも駐在所が流失した。

 使用できなくなった27施設のうち23施設は、内陸部や高台など津波浸水想定区域外で再開した。気仙沼署は仮設庁舎での業務を経て2016年、高台にある旧鼎が浦高跡地に移転新築。南三陸署も今年3月、海抜20・4メートルの高台に新庁舎を建てて業務を始めた。

 一方、船越駐在所(石巻市)や清水駐在所(南三陸町)など4施設は再建せず、近くの交番や駐在所に機能を集約させた。

 再建施設は設備面も充実させた。16年以降に新築した施設は、停電時に発電機や電気自動車など外部電源から電力を供給できる接続盤を備えた。県警装備施設課は「交番などに明かりがあれば地域に安心感を与える。人命救助などの活動も円滑になる」と強調する。

 県警警務課の担当者は「再建先は地元自治体とも協議し、市街地との距離などを総合的に判断して選んだ。災害も考慮しつつ、住民の安心安全を確保している」と話す。

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