河北春秋(9/12):気仙沼市の陶芸家斎藤乾一さんが作る器の青…

 気仙沼市の陶芸家斎藤乾一さんが作る器の青は、三陸の海に例えられる。43年前の開窯以来、一貫して地元の土を使ってきた。形になりにくい欠点はあるが、他の土にはない魅力があるという。唯一無二の作品には多くのファンがいる▼79歳の斎藤さんが今、絵画に挑戦している。水彩絵の具で着色した板などを印鑑のように紙に押し当て、自身の心象風景を描く。独自の技法は「水彩印描」と名付けた。18~23日に同市の恵比寿屋表装店で初の絵画展を開く▼絵を作品として描き始めたのは東日本大震災の直後。雪中から顔を出したモミの木の芽に、被災した子どもたちに強くなってほしいとの思いを重ね、詩画を描いた。ポストカードを作り、売り上げを子どもの支援に充てた▼震災では知人を亡くし、窯が壊れた。だが、さまざまな人とのつながりも生まれた。2年前に作った陶彫のタイトルは「希望 喜びと哀しみ」。希望が見えてきた被災者がいる一方で、悲しみが消えない人がいる。今もそんな思いを表現し続ける▼「今後は、これまでやってきたことを凝縮させた絵や陶芸を作りたい」と斎藤さん。最近は、香港やミャンマーなど社会的なテーマの絵にも取り組む。大作は体力的に厳しくなったが、中から力が出てくる作品を目指している。(2021・9・12)

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