社説(9/16):コメ概算金大幅下落/農家支援策 検討を急ごう

 生産者にとっては、出来秋の大幅減収が避けられない深刻な状況だ。在庫状況から一定の減額は予測できたとはいえ、軒並み2~3割の落ち込みには「予想以上」との声が多く聞こえる。農家経営が厳しさ増すのは必至だ。自治体や農協グループは支援策の検討を急ぐべきだろう。

 全農県本部が各農協に支払う2021年産米の概算金(60キロ、1等米)が出そろい、多くの産地、品種で前年産から2000~3000円の下落となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、業務用需要が落ち込む中、家庭向けの「巣ごもり」需要にも期待されたほどの勢いはなく、20年産米の在庫消化さえ進んでいないためだ。

 出回り始めた関東の早期米も販売価格は低下している。さらなる米価の低下も覚悟しなくてはなるまい。

 各県の主力品種では、宮城「ひとめぼれ」が前年産に比べて3100円低い9500円に設定され、7年ぶりに1万円を割り込んだ。

 18年産から都度精算方式を採用している青森は、概算金の「目安額」として「まっしぐら」8000円、「つがるロマン」8200円を各農協に提示。下げ幅はともに過去最大の3400円となった。

 岩手「ひとめぼれ」と山形「はえぬき」、福島・会津「コシヒカリ」は1万円、秋田「あきたこまち」は1万600円を維持したが、いずれも2000~2600円減となった。

 さらに苦境が目立つのが、高級路線を狙った後発のブランド米だ。宮城「だて正夢」は1万円で、4300円もの大幅減となった。

 山形「雪若丸」は1万600円で2300円の低下。20年産でも1000円下げており、2年連続の厳しい数字となった。

 ともに食味や粒立ちの良さが特徴で、デビュー4年目。山形「つや姫」や青森「晴天の霹靂(へきれき)」を追う価格帯への定着が期待されてきたが、消費地での知名度不足から販売を伸ばせていない。小売店に棚を確保してもらうため、低い価格帯から販売の立て直しを迫られているという。

 1970年に生産調整(減反)が始まってから、稲の品種開発は食味追求一辺倒となり、産地は高値販売を狙って家庭用米市場に相次いで新品種を投入してきた。

 日本穀物検定協会による「食味ランキング」では近年、最高の「特A」とされる銘柄が初年(1989年)の13銘柄から大幅に増え、50銘柄を超える状態が続いている。

 主な国産米はおいしくて当たり前の時代となり、食味偏重のブランド米市場は既に飽和状態と言える。

 米価の立て直しには、いびつなブランド競争を見直し、飼料用、加工用と均衡の取れた稲作への転換が前提となることも忘れてはなるまい。

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