社説(9/22):WEリーグの挑戦/ジェンダー平等 推進に期待

 日本初のサッカー女子プロリーグ「WEリーグ」が開幕した。リーグは社会貢献としてジェンダーの課題解消に向けた活動に力を入れ、多様性に満ちた社会の実現を目指す。ジェンダー平等を世間の注目度が高いスポーツ界が進めることは社会への浸透を図る上で大きな意味があるだけに、取り組みに期待したい。

 リーグは、ジェンダー平等の考え方が一般的になるような日本社会にするという理念を掲げた。参入基準には(1)コーチ、監督らに女性を入れる(2)クラブを経営する役員に女性が1人以上いる(3)スタッフの50%は女性にする(4)ホームの試合会場に託児所を設置する-などを盛り込んだ。

 今後、NPO法人などと連携し、ジェンダーに関する問題をリスト化する。岡島喜久子チェアは「課題を社会とシェアし、来年以降はどう解決するかを考える」と話す。

 ジェンダー平等などを含む多様性は、スポーツ界でも世界的な潮流にある。女性アスリートや指導者の課題を調査・研究する福島大地域スポーツ政策研究所所長の蓮沼哲哉准教授は「まずは男性を中心に発達してきたスポーツ文化を変える意識が重要になる」と訴える。

 さらに、「女性が参画しやすい環境が整えば、障害のある人もない人も参加する多様性を認めるスポーツ界になる。ジェンダー平等が達成されていない他の分野にも理解が広まり、やがて地域社会の課題解決に向かっていくはずだ」と語り、スポーツ界の男女平等を多様性の入り口と捉える。

 男女平等を進めるには、女性の視点や意見を多く取り入れることが必要だ。そのためには、競技団体の役員や指導者に占める女性の比率を高めることが欠かせない。

 今年2月、東京五輪・パラリンピック組織委員会のトップが女性を蔑視する発言をして辞任した。同時に、組織委の理事に女性が少ない問題が指摘され、急きょ是正に動いた経緯があった。

 蓮沼准教授が福島県で実施した調査では、2019年の国体で福島県が獲得した得点のうち、約62%は女性選手によるものだった。一方で、19年度の全国レベルの大会で実績のあった指導者のうち、女性は約18%にとどまった。団体の会長や副会長などの要職は男性が圧倒的に多かった。

 調査からは、女性の中にはリーダーになりたがらない人がいて、それが女性の地位向上につながっていない現状も明らかになったという。

 蓮沼准教授は「スポーツ界でも、女性のキャリア像を描くロールモデル(模範となる人物)の設定が必要だ。ああいう選手や指導者になりたいと、後進の女性が憧れる存在が求められる」と指摘する。その点でも、WEリーグの挑戦は一つの試金石となるだけに、今後の活動の推移を見守っていきたい。

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