<手腕点検>松島町・桜井公一町長 駅舎のバリアフリー化、負担抑えて実現

 東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う宮城県の市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。

町議会9月定例会の一般質問で議員の質問に答える桜井町長=2日

 長年の悲願がついにかなう。日本三景松島の玄関口、JR仙石線松島海岸駅(松島町)が12月、エレベーターなどを備え、バリアフリーに対応した新駅舎に生まれ変わる。

 改修には多額の費用が見込まれ、3代前の町長時代から方針が定まらなかった。桜井公一町長(71)は関係機関に要望を重ね、総工費約18億円のうち、町と県が3億4000万円ずつ、残りを事業主体のJR東日本と国が負担する枠組みを実現した。

 1927年開業の駅には階段しかなく、町には高齢者や車いす利用者から改修の要望が相次いでいた。町議会の阿部幸夫議長(73)は「当初は町の持ち出しが多い試算だったが、県を動かして負担額が抑えられた」と評価する。

 桜井町長は「タイミングと人との出会いが良かった」と謙遜しつつ、「新駅舎開設を契機に新型コロナウイルス禍で減少した観光客を戻す努力をしていく」と決意を口にする。

 全国区の観光資源を誇る町も、足元では活力低下が進む。

 65歳以上の高齢者が人口に占める割合を示す高齢化率は、今年3月末現在で39・2%。県内35市町村で5番目に高く、県全体の28・4%を大きく上回った。8月末の人口は1万3547。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、2045年には15年比で41・1%減るとの試算もある。

 「最重要課題は人口減少対策だ」と桜井町長。子育て支援を重点施策に掲げ、30、40代の呼び込みを図る。町議を5期務め、町議会議長を経て15年に町長就任後、18歳までの医療費無料化を達成。町内初の認定こども園整備も打ち出した。老朽化の著しい保育所と幼稚園4カ所を統合し、23年4月の開園を目指す。

 新施設は町社会福祉協議会の建設、運営により民営化。0~2歳児の預かりや預かり時間の夜間延長といったニーズに柔軟に対応する。町社協の遠山勝雄会長(83)は「20年以上議論してきた課題がやっと実現する。民営化の一方、社協に運営を任せることで町がにらみを利かせる余地も残した」と解説する。

 「町内で暮らせるサイクルをつくる」と雇用や住宅施策も重視。初原地区の民間の工業団地造成に協力して道路整備や企業誘致を進め、JR東北線品井沼駅前には住宅建設が可能になるよう地区計画を変更した。

 桜井町長は今月、2期目の折り返しを迎えた。コロナ禍で基幹産業の観光が大打撃を受け、町の経済環境は厳しさが増す。

 「長年の懸案をいくつも処理した」(町幹部)とされる実行力で、回復軌道に乗せられるか。就任後6年間に取り組んできた施策の実効性が問われている。
(塩釜支局・高橋公彦)

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