岩手1区、「孤立無援」対「組織」 三者三様の思惑絡む

衆院選 ドキュメント東北(5)

候補者の訴えに耳を傾ける聴衆=19日、盛岡市

 孤立無援の立憲民主党前議員、大物弁士を続々呼び込む自民党前議員。対照的な2人が盛岡市と岩手県紫波、矢巾両町で5度目のぶつかり合いを演じる。

公認巡り対立

 立民の階猛は公示翌日の20日、県連が入居する盛岡市中心部のビルから50メートルの場所に立った。

 「余裕のある人が苦しい人を支える税の仕組みが必要だ」。公認候補として、支え合いをうたう党の政策を訴えるものの、応援に駆け付けた県連の面々の姿は見当たらなかった。

 県連と政治資金を巡る訴訟を抱える階。2年前の参院選岩手選挙区や知事選での野党共闘に参画しなかったことも尾を引く。公示前には県連が刺客として新人の擁立を発表し、瀬戸際に立たされた。階に近い県連関係者は「立ち回りが難しい」と明かす。

 党の現職優先の方針で公認は得られたが、全党的な支援は受けられない。選挙中は毎日40カ所を駆け回り、夜には有識者との対談を動画で配信し続ける。

 「1人で戦っている姿は、むしろ好印象につながるはず」。陣営は有権者の判官びいきに期待する。

苦杯続き背水

 対する自民の高橋比奈子は背水の陣を敷く。過去3回は比例東北で復活したが、1区の戦いでは初挑戦の2009年から階に敗れ続けてきた。

 20日夜、高橋の個人演説会。陸前高田市長戸羽太は「正直、選挙が弱い」と、会場の笑いと同情を誘った。アイドルグループ「嵐」の曲で陽気に入場した高橋は、話が勝負の行方に及ぶと表情を一変させた。「小選挙区で勝ちたい。どうか助けてください」。涙を流し、すがりつくようにして声を振り絞った。

 高橋は同席した党広報本部長河野太郎を「総理を目指す河野さんに付いていく」と持ち上げ、したたかさも見せた。23日は党幹事長甘利明の隣で、文部科学副大臣の実績を強調した。

 8月には連日、ツイッターで首相や閣僚との写真を投稿。「無党派層の支持を広めるには知名度の高い人と並ぶのが効果的だ」。陣営の戦略は徹底している。

 岩手での野党共闘の一翼を担ってきた共産党は、結束を欠いた立民に割って入る。4度目の戦いに挑む新人吉田恭子は昨年8月の擁立発表以来、積極的に選挙区を回ってきた。

 21日の演説会で、党県委員会副委員長の斉藤信は「吉田こそ実質的に野党の代表だ」と力説。吉田も達増拓也知事から届いた応援メッセージを披露し、「本気の野党共闘が築けている。共産が信頼を得てきた結果だ」と訴えた。

 三者三様の思惑が、県都で絡み合う。
(敬称略)

【岩手1区立候補者】
吉田 恭子 40歳 共新 
階   猛 55歳 立前⑤
高橋比奈子 63歳 自前③(公推)

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